ある夜の話
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理解できない。どんなに馬鹿でも欲を刺激すればなんらかの色気が出る。色気が出れば心が通じる。言葉をもって人が通じるみたいに、色気でつながるんだ。木星や土星には愛も色気もないだろう。俺はあの色合いが気持ちが悪いんだ。
この男をどうしよう?
増藻は電話機を見つめている。それはどれほど遠い? 自分とそれの距離を近づけたり遠ざけたりしながら顔をしかめている。この男が受話器を取ってメモ帳にコリコリとロシア人の声を書き写すところを想像してキュウゥと集中する。「いいね」意識の薄い奴が世界に穴を開ける。自分自身も穴に吸い込まれながら。この男が怒ったとき何をする? 振り返って彼を見ると窓に張られた叔父さんのポスターを見ている。
「それはカモフラだよ。実際には存在しない政治家だ」
増藻はこの男が四肢を振り回して踊る姿が見える。多分その程度だろう。
「初めての女は大事なところを触れられることをひどく怖がっていたよ。原始人が科学を恐れるようにね。二人目の女は大事なところに触られすぎて、鼻息がかかるだけで『もう止めて』と頼むんだ。三人目の女は大事なところが大きくて探すのが楽だと思ったら、オカマだったんだ。どう? 面白い?」女の子が「あなたお金のプロなんでしょ?」と訊いてきた。「お金があっても悪くない人の見分け方教えてよ」と頼むから、こう切り返した。
「金は愛の大きさだよ。愛は人の心の中に必ずあるものだから、掘れば必ず見つかるんだよ。何のために学校へ行く? 穴を掘る手がかりを探しているのさ。でもたまに他人の鉱脈を掘ってしまう人もいるけれどね。何? 金は愛じゃない? でも愛の化身だよ? 純な愛も、金も人に力を与えるんだから。鉱脈はいつか行き止る? 金運が尽きるという事は、目が悪くなるという事だよ。目が悪くなるのは歳のせい? うん、それもあるけど……美術館に行ったことはある? 光に当たりすぎたら作品が劣化してしまう。それと似ているんだよ。金が光で、幸運が芸術さ。もっと分りやすく言うと、金が引き出した欲が幸運を絡めとって、一緒に腐ってしまうんだ。幸運とはシャキッとしているんだ。シャキッとした眼差しを持っている。金持ちのゆるい眼差しの笑顔を見たことがあるだろう? そりゃぁもう、幸運の腐りかけさ。本当の幸運はシャキッとしているんだよ。金の流れを見れば誰が幸運を持っているか分る。その幸運が自らの肉体によってつなぎとめられたものならば自分の金に満たされる。もし他人から幸運を奪って金を手に入れるならば、自らの幸運を金と引き換えに失う事になる。私は何を失ったと思う?」
女の子は「ボッキ」と答えた。「うん、それでいい」この娘が体で稼げるのはあとわずかだな。今日もエロいことをしてたっぷりお金を渡そう。「ボッキのないセックスもおつなものだよ」彼女の大事なところをやさしく撫でると「ツン」と
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