第九十三話
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ルの魔術師が敵わないと言っている何かなのだ。駆け出しの自分では到底敵うまい。
しかし彼女には行かねばならない理由があったのだ。自分の友達のコトネを探す。その為に家を抜け出してこんな所までやってきたのだから、止れといわれても敵わないと言われても頷けない。
しかし、抵抗する彼女の声を聞いて路地裏の何かは此方に気が付いてしまった。
ヌチョリと粘性の音を立てながらその何かはその奥から這い出してくる。
そのフォルムはタコのような、イカのような触手を持ち、ヒトデのようなボディをしたナニカだった。
「ひっ…」
と、そのナニカをみて少女が悲鳴を上げた。
「これはまた趣味の悪い…」
這い出てきたナニカは食事中だったのか、口と思われるところから何かがはみ出ていた。
足だ。あれは人間の足だ。
「っ…ぁ…」
高次元の何かがうごめいている。魔術師ですら隙を見せたら殺されてしまいそうなナニカははっきりと此方をターゲットに定めたようだ。
「ごめんなさい、チャンピオン。あいつ何とかしてくれないかしら」
私に彼女に対する命令権は無い。だからこれはお願いだ。
虚空から現れた彼女は私達を守るように眼前に顕現し、何か手を複雑に動かすと息を吸い込んだ。
『火遁・豪火球の術』
ボウと大きな火の玉が噴出され、その何かを焼き尽くし、終息した。攻撃を終えたチャンピオンは振り返る。
『プロテクション』
終わったかな。そう思った次の瞬間、チャンピオンは振り返ると防御魔術を展開し、私達を何かの脅威から守ってくれた。
「なっ!?」
何が起こったのかと振り返れば大量の蜂のような蟲が大量に此方へと押し寄せている。
幸いチャンピオンの防御魔術を抜けるほどの脅威では無いが、何者かに襲われている事だけは確かだった。
誰だと目を凝らせばフードを深く被った男性がやっとの事で立っていると言う感じをかもし出しながら此方を睨みつけていた。
な…雁夜おじさん!?
「その子を置いていけ…」
その子と言うのは私が抱えているこの子だ。
「え、わたし?」
まさか自分が呼ばれるとは思っていなかったのだろうと言うのがその言葉から窺える。
「さあ凛ちゃん、こっちに来るんだ」
「え、わたしの事を知っている?あなたは誰なの?」
「雁夜だよ、凛ちゃん」
その言葉でフードを取る男性は、やはり記憶にある雁夜おじさんとはあまりにも別人だった。
「うそよ。雁夜おじさんはそんな白髪じゃないわ」
「おじさんにも色々有ったんだよ」
この蟲達はこの子を攻撃から除外するように言われているだろうが、バリアを解除した途端彼女以外に牙をむくだろう。
彼がそこまで細かくこの蟲
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