第九十三話
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を幻視してしまうほどだ。
「ふむ、中々にうまいな。なるほど、食は日々進化していると言う事か。うむ、これだけでもこの時代に呼ばれた甲斐はあったと言うものだっ」
「そう?まぁ不味くは無いけれど、そう美味しい物では無いわね」
「そうか?余が生きていた時代の王族が食していたものよりも美味しいとは思うのだが」
「そうなの?それはまた貧相な食事だったのでしょうね」
「そう言うてやるな。料理人も日々努力して余に食事を出していたのだ。それに遠征中など干し肉が食えればよいと言う時も多々有った物よ。そのひもじさを知っていればこそ、戦争に勝った時の美酒はまた格別なのだ」
「ふーん。大変なのね」
ガツガツと頬張るライダーはお世辞にも行儀が良いとは言えないが、その快活さは寧ろ心地よい雰囲気をかもし出していた。
食事が済み、店を出たライダーは、どうやら拠点に戻るようだ。
イリヤに別れを言い、その豪腕でイリヤの頭を撫ぜた後踵を帰した。
「ではな、小娘。次に会った時はそなたのボディガードを紹介してもらえると嬉しい」
「あら、気が付いてたのね」
「これだけ長時間一緒に居れば流石に分かると言うもの。お主らに戦う意思が無かったようだしな。だが、聖杯を求めて戦う敵であれば容赦はせぬ」
それだけ言うとライダーはドスドスと音が聞こえそうな足取りで歩き去った。
「バレてたみたいね。さすが征服王と言う事なのかしら?」
さて、どうだろうか。だが、戦わずに去ってくれた事はお互いに行幸だろう。
「それじゃ、帰りましょうかチャンピオン」
帰ってくることの無い虚空に呟いた後イリヤもまた踵を返し帰路に着いた。
◇
聖杯戦争は始まりの御三家には優先的に令呪が与えられる。
今回の場合、遠坂は私のお父様だし、アインツベルンはセイバーの話では士郎の父親であったはずだ。イリヤスフィールやチャンピオンの話ではセイバーはイリヤスフィールの母親に付き従っていたようだが、おそらくはフェイク。
分かっている情報で一番憂慮しなければいけないのは私のお父様を殺したあの兄弟子だ。しかし、彼の所在はまだ知れない。遠坂の家に留まってお父様を欺きながら手伝っているのかもしれないし、袂を分かれたのかもしれない。
私の記憶ではまだこの時点ではお父様は死んでは居ない。最後のあの私の頭を撫でてくれた最初で最後のあの手を私は忘れていないのだから。
となると、残りで確実に参加が分かっているのは間桐だ。
どうして今までこんな簡単な事も思いつかなかったのか。いや、私自身忘れたかったからなのかもしれない。
この聖杯戦争の後に、雁夜おじさんが家を訪ねて来たことが一度も無い事に違和感を感じるべきだったのだ。
おそ
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