第九十三話
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」
「可愛い娘ゆえに特別だ」
そう言うとライダーはペースを上げる。徒歩ではなくその巨漢に見合わぬ速度で駆ける。
「わっ!はやいはやいっ!」
「わははははっ!これでも余は騎馬にて世界を蹂躙した征服王ゆえな。地を駆けるのは得意中の得意よっ」
定期的にイリヤを下ろしては川の水を汲むライダー。
大きな排水溝を跨ぐとき、イリヤの視線が過ぎ去った排水溝へと向いた。
「どうした、小娘?」
「ううん、なんかあそこが一番嫌な感じだった」
「嫌な感じ?どういう事だ?」
「うまく説明できないけど、何か嫌な感じだったの」
うん、意味が分かりません。実体化して視ればおそらく何か分かるのかもしれないが、今は霊体。干渉能力は著しく低い。しかしそのお陰で気配遮断スキルをフル活用してライダーの目を誤魔化してイリヤについていっているのだから仕方ない。
「此処が最後だな」
「結局水を汲んでいただけね」
「まぁそうだなぁ」
やる事の終わったライダーは踵を返す。
「余はこれから帰路に着く。街までは送って行ってやるがどうする?」
「そうね、それじゃお願いするわ」
「あい分かった。それではどうぞレディ」
「お願いするわ、ジェントルマン」
肩を落としたライダーに自分から乗り込んだイリヤ。…まだ付いて行く気ですか。
冬木市新都へと二人は歩いて行く。
逞しい巨漢の男が麗しの少女を肩に乗せている光景はかなり鮮烈なようで、道行く人が振り返るが二人は気にした様子も無い。
「ちと小腹が空いたのう…どれ、何か食っていくとするか」
いやいやいや…なにが小腹が空いた、だっ!サーヴァントは基本食べなくても生きていけますからっ!
「あら、奢ってくれるのかしら?」
「よかろう。まぁあまり高いものは今の余の財力では厳しいがな」
「そう、それじゃあそこにしましょう」
目ざとくイリヤが見つけたのはヴァイキング形式のレストランだ。お一人様3500円と手ごろながら時間無制限と銘打っている。
「ふむ、アレくらいなら大丈夫だな。では征こうか」
財布の中身を確認したライダーがそう宣言する。
マントがあればバサリと靡いていただろう風に右手を上げると、イリヤをエスコートして店へと入るイリヤとライダー。
料金は先払いで払い、ライダーは逞しい二本の腕に盆を取り、大量の食料を持って行く。席に着いた頃には目の前が見えないのではないかと言うくらい高々と盛られていた。
イリヤはといえば、スパゲッティナポリタン一皿とデザートのプリンと、値段に見合わないチョイスではあったが、その分はライダーが食べる分で二人で考えたらプラスになるだろう。店側が心のそこで涙しているの
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