第九十三話
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供を何に使うのか、それは写輪眼で見ずとも碌な事ではなかっただろうが、彼らには既に何かが巣食っていた事は見て取れた。
おそらく生きては帰れまい。その事をイリヤは気が付いていたのか…気が付いてなければ良い。
これで確認していないのはアサシンのみだが、アサシンの確認はその特性上難しいだろう。
夜の空を飛び、衛宮邸へと戻るのだった。
朝食を食べた俺達はソラを凛達につけるとイリヤが散歩に行くと言うので俺は護衛にまわる。
未音川の堤防にある遊歩道を歩く。朝の日差しは気持ちよいが、吹きすさぶ風は冷たい。
遊歩道から未音川を見下ろせば、この寒い季節にピチめの半そでプリントシャツとジーンズだけと言ういでたちで川の水をくみ上げる巨漢の男が見える。
明らかに不審者だろう。
ああ言う輩には近づかないに限る。と言うか、あいつから感じるサーヴァントの気配。これはまずいと霊体化して気配を遮断しているためにしゃべれない俺は霊ラインを通じて警告しようとしたのだが、イリヤはトトトと土手を降り、その巨漢の男の所へと走り寄って言った。
イリヤもなんとなくアレがサーヴァントだと分かっているだろうに、聖杯戦争は夜にやるものと言う戯言をまだ守っていたのか…
「こんな所で何やってるの?」
「それが余にも分からぬのだ。余と一緒に居る坊主が持って帰って来いと言う。余もズボンが欲しかったゆえ承諾したのだが…ふむ、一体何に使うのだろうな」
「わたしに聞かれても分からないわ」
「そうだよなぁ…どれ、余は行く事としよう。ではな小娘」
そう言うとライダーはぐりぐりとイリヤの頭をその大きな腕で撫ぜると川を上流に向かって歩いていく。
「何するんだろう」
と言ったイリヤも特にする事が無いと彼の後を追った。
足の長さが違う為に離されるイリヤだが、ライダーがまた川の水を汲む頃には追いついた。
しかし、入れ替わりにライダーはまた先に行く。
今度は少し離されたために駆け足で追いつくと、まだライダーは水を汲む前だった。
「なんだ、まだ余に付いて来ていたのか」
「特に目的があるわけじゃないもの。あなたが何してるのか気になっただけ」
「とは言っても、余自身も何のためにしているのかは分からぬのだし、着いて来ても分からぬと思うぞ」
「別にいいのよ。散歩だから」
「そうか」
ライダーは更に川を遡る。
しかし、次第に足場が悪くなりイリヤではなかなか付いていけなくなってしまう。そんな時、巨漢の男が振り返りむんずとイリヤの襟首を掴むとその逞しい肩上へと乗せた。
「きゃっ」
「どうせ付いてくるのであろう?ならば、余の肩に乗るが良い。レディをエスコートしてやろう」
「あら、中々紳士なのね
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