第九十三話
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突き出すと、その魔法陣から金色の閃光が三叉の槍のように伸び飛ばした刃を弾いたばかりのバーサーカーに襲い掛かる。
「■■■■■■■■■■■−−−−−−っ」
バーサーカーは絶叫を上げ、霞となって消えていった。
「殺したの?」
「いいえ、一瞬速く実体化を解いただけね。バーサーカーのクラスは大量に魔力を消費する。マスターの限界の方が早かったみたい」
「そうなの?」
と答える私だが、私のそれを裏付けるかのように公園の入り口で人が倒れるような音がした。
「どうするの?」
いつの間にか私の側まで来ていたチャンピオンがそう問い掛けてきた。
「魔力切れでまともに動ける状態じゃないでしょう。話を聞いてみましょう」
そう答えると私は警戒しつつも雁夜おじさんへと近づいた。
トトトと小さな私も付いてくる。
うずくまる彼は全身が引きつったかのような死相を呈し、魔力の枯渇で息も絶え絶えだった。
私は彼に重量軽減の魔術を掛け、公園のベンチへと運び込んだ。
「本当にこの人は雁夜おじさんなのかしら…たしかに似てるけど、ここまで来ると全くの別人みたい…」
小さな私がベンチに横たえられた彼を見て言った。
改めて肉眼で見れば、魔術の後遺症で体はボロボロ。これでは生きられて後一ヶ月も保てば良い方じゃないか。
おそらく聖杯戦争に参加する為に急造で魔術回路を拡張した反動と言った所だろうか。
間桐の家は代を重ねる事で魔術回路を失っていき、慎二には終に備わらなかった。であるならば、一世代前ですらサーヴァントを維持できるほどの魔術回路は無いはずなのだ。
しかし、それを覆したなにかの秘術により雁夜おじさんはマスターになったし、聖杯を欲してその身を削っている。
そこまでして聖杯に願う望みがあるというのだろうか…
「凛っ!」
突然、公園の入り口から大声で私を呼ぶ声が聞こえた。
「お母様っ!?」
ドキっとして視線を上げた私だが、なるほど、私を呼んだわけではなかったのか。
小さな私を呼んだ女性は隣に武装をしたまま立つチャンピオンが何者か分かっているはずだろうにその恐怖に負けじと小さな私へと駆け寄ると彼女を自分の後ろに隠す。
そんな顔で睨まれるのは傷つくなぁ。
しかし同時にこの人はまだ私を忘れていない。そう感じて心の中で涙する。
「迎えが来たみたいね。帰りなさい、小さな魔術師さん」
「でもわたし、まだコトネを見つけていないっ!」
「小さくても魔術師の貴女なら分かるでしょう?その子はもう生きていないわ」
「っ……!」
「あなたも、その子が心配なら速く連れて此処から去りなさい。今回は運が良かっただけ。次はおそらく死ぬわ」
聖杯戦争に
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