第九十三話
[2/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、ただの自分のエゴよ。此処で何をしたって私達の居た未来は変わらない…でも」
「そう、でも、違った未来をわたしは見てみたい」
「イリヤスフィール…そうね、私も見てみたいわ」
どうやらようやく行動指針が決まったようだ。
「そうか。だが、難しいよ。死ぬ運命を覆すのは特に。何をどうすればいいか良く考えなければならない」
「そうね…お父様を生き残らせる。お母様を関わらないようにさせる。単純なようで難しいわ…あとコトネの事も…」
凛の望みは親しかった者の救済か。いや、それはイリヤもだ。
「イリヤは?」
「わたしは…過去のわたしをあの城から連れ出してキリツグに会わせてあげたい。本当はわたしもお母様を助けたい。だけど、それは不可能かな…」
「どうして?」
「お母様は今回の聖杯戦争の器なの。サーヴァントの魂を回収するたびに、お母様は本来の聖杯としての機能を取り戻すに連れて人間としての機能を失っていく。わたしでも四騎が限界だったもの。お母様じゃ二騎が限界でしょうね」
「つまり、サーヴァントの脱落はイリヤのお母さんの命を削るって事か」
イリヤと同じだが、イリヤよりもなお脆い。
「サーヴァントの脱落無しで聖杯戦争を止める事は不可能よ。先ずは剣を取り上げないと話し合いのテーブルにすら付く事は出来ないんだから」
「…分かってるわ」
ふむ…
アイリスフィールの救済、それがイリヤの願いだが、それはとても難しい。だが…
「最後まで自我が残っていれば助ける事は出来るかもしれない」
「え?どういう事、チャンピオン」
がっと詰め寄るイリヤ。
「俺の能力は物質の時間を操る事が出来る。それなら、人間としての機能が停止する前まで戻せるかもしれない…って、どうした?」
「…きいてない」
「え?」
「聞いてないって言ったの。チャンピオンの能力は因果操作じゃなかったの?」
「え?言ってなかったっけ」
「言って無いっ!」
プクリと頬を膨らませるイリヤ。凛が因果操作と驚いているが、今はどうでもよい事か。
だが、前にそれで城の修復をしたはずなのだが…
「とは言ってもね、イリヤ。可能性の問題だ。出来ると言う保障は無いし、間に合うという保証も無い。終わったものを戻す事は難しい」
「そうね。…でも可能性があるだけで今は十分だわ」
希望は絶望を深くするだけかもしれない。だが、精一杯イリヤの望みには協力してやろう。そう思った。
さて、方針をどうするか、そんな事を考えていた時、大気を振るわせる魔術による信号が教会の方から打ち上げられた。
魔術師だけに分かる暗号であり、監督役がいるはずの教会となれば、聖杯戦争関係の物だろう。
「それを
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ