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『ステーキ』
ヨシユキの話
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に突き上げるのだろう。仕事とはもちろんレイプの事だ。

 絞っているのか、絞られているのか、米神に責任を感じて、吉之は言葉をつむぐ。何もないはずの景色を見ては、個人的な経験に近しいところを突破口に。それは大きなオッパイに疲れの逃げ道を求める男。世の中にあまた口を開く不幸の穴から逃がれようとあがく男たちがごとく。
「焼けた肌がキレイ」と書いて顔を拭う。変な汗をかいています。
「それは愛の手前でした」と書いて失望の底に堕ちています。
「潤してよ渇いた心」と書いた後は少女のように恥ずかしいです。吉之はシンシンと痛む頭でベッドに横たわってしまいました。体にまとわりつく、くだらないものを鏡で見てしまったような気持ちだったのでしょう。じっと高い空を見ています。頭の上にある湖をコツコツとノックしています。そこから一瞬、水がしたたりました。

僕は人を好きになった
 その時気づいた
 恋愛に向いていない

でも 向いていない仕事を
辞めるような
 諦め方はしたくない

 考えれば考えるほど
 闇に包まれてゆく

 日没の東の空を見つめると
 そこに光芒が見えた

 明日も太陽昇り来るなり

 打ち上げ花火みたいです
 消えてゆく言葉たちは
 夢に遊びすぎた
 あの人達みたいね

 夜中の花火は消えてしまうから
 明日も太陽昇り来るなり

 胸に熱をあずけたもう

 一気に書き上げて、なんだか気持ち悪さが残った。自分の生み出したものが気持ち悪い。それ自体が醜いのではなくて、これを書かせた空気が気持ち悪い。これが人目に触れるのは間違ったパーマをあてた次の日の学校みたいに凹んでしまう。
 冒頭を変える。

 とても簡単にした迷路は
 四角い部屋でした
 僕を区切る壁たちは
少しずつ自分になっていって
息苦しさもなくなります
この部屋が僕なんだ
たまに卑屈な愛で
その形は変わります

 明日も太陽昇り来るなり

 僕は飲みに出かけた。父親の年金のいくらかが、僕の胃袋に納まり、赤い顔でタバコをふかしている。ぼおっとした頭の中で鋭敏に何かを感じているような気がする。ふと、誰かが僕の命を狙っているように緊張する。陽気な笑い声に混じって僕を揶揄するような言葉が耳に入ったから、心の中で暗雲が渦を巻く。タバコの煙を深く吸う。徐々に消える。酔っぱらっている。
カウンター、一個あけて隣に座るおっちゃんは、色よく焼けた肌に深い皺を湛えている。この人は笑いながら暮らしてきたのか、歯を食いしばって生きてきたのか。僕は前者を選んだ。何の目的もなく、運命の導くところにゆくこともなく、若いときは遊び、仕事は『親方日の丸』 風呂に入ればイチモツの比べあい。そしてこの街でラーメンをすすって生きている。脳裏にあるのは若い
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