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『ステーキ』
ヨシユキの話
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感性が豊かで感じやすい善人であるという慢心である。その慢心で心は鈍重になり、密やかに豪胆な思考をもてあそんだりしている。吉之がサツキさんに好意を伝えたのもその豪胆を証明しようと試みたので、色よい返事など期待もしていなかったのである。むしろなびかなかったのをよしとして、まだ僕のことは解るまいと、慢心した。そんな心の側面を創りあげなければ、不幸に耐えられなかったのである。その一方で頭がゆらゆらして、厚い雲の隙間から差す天国への階段を求めていたりする。
現代アートの石の彫刻。あの落ち着き、重量感。シンパシーを感じる。僕の心の在り様である。しかしながら、お洒落な洋服を見ると冷や汗をかくというのは排他的な世界から送られてくる批判か。
 手をつなげば怖くない。一人じゃないよ。でも、それには深くもぐらなければならないことを知っている。浮かれ気分でつないだ手は放してしまえば、彼ら僕に触れたその手を拭うだろう。学生時代そんな経験を何度もした。それは、僕を否定したとたんなぜか快活になる人達がいたから。何故だろう。僕を笑うと愉快なエネルギーが沸くのだ。ゆっくりと僕は重くなり、深くもぐった。腹の奥に豪胆を飼いならし、それでも揺らぐ心でその機微を喜んだ。
風が吹いて、木の葉を散らし、その骨を露にしたから見えました。実はこんな美しい形をしていたのです、深層心理は。そこのところ誰かが知れば、きっと驚嘆して感動するような、そんな気がしている。
僕に触れれば天に届く! 僕にはバネがあるのです!

「無頼漢のように無知で狭量な強さ」ではない
「博愛のように臆病な優しさ」でもない
 その見えない何かを求めている。

不幸を知る僕は覚悟を決める。固くなった心はまるで、精力を誇示する男のように凛としている。サツキさんは生の僕を見た。それは、好意を持っているからこそはみ出した柔らかい部分。言霊に乗って届いた心。「好きなんですけど」と言われた後で強ばった彼女の顔。伝わったのは僕の色をした心であるけれど、それは不幸で育っちまったからどんな味になっちまったかな。全力の純粋なら上手くいったのだろうか? 
確かに感じる純な心と、それを絡めとるように胸の中でとぐろを巻く自尊心。そいつは眺めてみれば、見たこともないモンスターのよう。そいつは僕の純粋を知っているからこそ膨らんだ目に見えないイチモツ。
「批判者をねじ伏せるまで」
魅力的。

 好きだよ〜好きだよ〜
 宇宙の果てまで行っても
 君の手を放しはしない
 大丈夫 大丈夫
 僕ら世界を超えるんだ
 素直に届く愛は
 神様にもたたかれない
 当たり前につながるアイ〜
 隙間もぴったり
 好きだよ〜 ♪

 僕はラジオを叩き消した。アホである。きっとレイプマンは仕事の後、この歌を聞いて「気持ちイイ!」と、両手を天
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