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『ステーキ』
ヨシユキの話
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と勃起する喜びなんてほとんど感じられない。それがどうだろう。先ほどの勃起は景色に潤いを与えるほど自信を与えてくれたじゃないか。でも、それが今はこの通り。渇いてしまって、ピクリともしない。ボォとして裸体を眺めている。
 舞い降りた、通り雨のような勃起。僕は詩を書いた。

 南の壁を押したら
 北の人が押し返す
 ちょっと余計に押すものだから
 少しだけ僕 狭くなった

 僕はカントクに電話しようとして止めた。「詩を読んでくれないか」本当は「今度の映像に何らかの形で差し込んでくれないか」そして「セックス」の事。

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