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『ステーキ』
マシモの話
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て、怖い男の怒声に吹き飛ばされる魂のように消える。佐古の前を高校

生が笑いながら歩いてゆく。佐古の魂の一部は彼らに持っていかれる。

 北から風が吹いている。乾いた雪を導いて。西に東にある山を、すり抜けるよにこの街に。なぜ

にそれは吹くのですか。教科書の外にあるその訳は、いまだ誰も知るに至らず。それは心の薄い膜

を、震わすように吹いていて、腹の底までさらすことに恥じらいを与え、たまにそれを打ち破るよ

うにつき刺さる。ここを歩く人々に北から風が吹いている。

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