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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第三七幕 「みんな必死に生きている」
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並行してただひたすらに書き、それを何度もおさらいする。気が付けば彼女の机には文字で埋め尽くされた大学ノートが積み重なっていった。学校内では「ガリベン」などと揶揄され、時には嫌がらせを受けることもあった。それでも彼女はそれを耐えた。
そして、その努力は少しずつ実を結んでいった。1学期の中間試験で、期末試験で、後期の試験で、彼女の成績はどんどん上がっていき、2年生になった頃には学年上位に食い込むほどになっていた。勉強をしている間に楽しそうにおしゃべりや部活動に取り組む他の同級生たちを羨ましく思うことはあったが、それも夢の魅力には叶わなかった。
それに、孤独だったわけではない。IS好きや同じ夢を追いかける同級生と友達になったりもしたし、両親も心配しながらも応援してくれた。皆で一緒にIS適性を調べに行ったときは緊張したものだ。幸い彼女のIS適性はBとそこまで悪くない結果であり、皆が自分の事のように喜んでくれたのを見て嬉しさに涙を流したりもした。
何度指に
肉刺
(
まめ
)
ができたろうか。何度勉強を投げ出そうとしただろう。「これだけの成績になれば、IS乗り以外の道の方が楽に行ける」と心の声に囁かれた回数も一度や二度ではない。
それでも頑張った。担任の先生も私の熱意が届いたのか、なにかと世話を焼いてくれた。
才能がないから、せめて努力の量だけは誰にも負けたくない。そんな思いが私の疲れた体を突き動かした。
「懐かしいなぁ・・・ほんの1,2年前の事なのに」
過去を懐かしむように遠い目で笑う。今思えばあの時の私が最も充実していたような気さえする日々。
そして、私はIS学園の入試試験を受けた。緊張と不安で手を震わせ、何度も緊張で視界が真っ白になりかけながら、必死に答案を埋めた。ISの実機試験では何をすればいいのかもわからず、ただがむしゃらに動き回った。
それからどうやって家に戻ったかは覚えていない。それほどに疲れ切った。
IS学園は合格発表を行わない。ただ受験した生徒の母校に直接合否通知を手渡しする。それは数年前に合格発表を行った時、男性権利団体の大規模なデモが起きて受験者が発表会場から出られなくなるという事件があってからそうしているらしい。(その事件は結局「男は困ったらすぐ暴力に訴える」という認識を世間に広め、国内外で女尊男卑を加速させる原因の一つになったそうだ)
そして、合否通知が学校に届いた。
結果は、合格だった。
私はそれを聞いた時、その場に崩れ落ちて歓喜と安堵の涙を流した。入試試験以来、結果が気になって食事も喉を通りにくいような日々が続いた私が、何よりも求めたものだった。
これは後になって知ったのだが、お世辞にもレベルが高い学校とは言えない母校にとって、私という存在は希望の光だったらしい。合格の通知は瞬く間
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