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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第三四幕 「模擬戦は遊びじゃない」
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付いていないが、その顔はいつにもまして蒼白で血の気がなく、足先や指先は絶え間なく震えている。溢れる冷汗は既にベルーナの全身を濡らしており、それでもベルーナは一心不乱にモニターを見つめ続けている。
彼を止める存在はいない。否、本当はいるのだが、ベルーナが室外へ追い出した。これは一人でやらなければ意味がないからと言い聞かせ、彼が万が一リハビリに耐え切れずに倒れてしまった時に助けてくれることになっている。
――ISが兵器だから怖い?そんなのは周囲を誤魔化すための嘘に過ぎない。暴力やそれを連想させるものが怖いのは本当だ。だが彼にはもっと明確に、ISという存在を忌避する理由が存在した。その理由を鮮明に思い出しては、また吐き気に襲われて口を押さえこむ。
受け入れなければならないのに、体が受け入れようとしないのだ。
あの光景を、あの事実を、あの自分を。だから、受け入れられるまで思い出し続ける。
親友と呼んでいたモノの変わり果てた姿を、鮮明に思い出す。
血で真っ赤に染まったあの鉄の躰が掲げた凶器を、鮮明に思い出す。
宙を彩った血潮と舞い飛ぶ人間の
欠片
(
パーツ
)
を、鮮明に思い出す。
血に染まった
躯
(
むくろ
)
の数々を、鮮明に思い出す。
子をかばって死んでいったあの人の最期を、鮮明に思い出す。
思い出してはまた大きく身体が震える。細い体を引き裂くような胸の痛みと震えを抑え込むように、ベルーナは自分の肩を強く抱いた。
「・・・いやだ、逃げたくない・・・僕は、もう・・・」
震えながら、ベルーナはモニターから目を離さない。ミノリも、オリムラも、ホンネも、セシリアも、皆前を向いている。前に進もうと動いている。
実の所、ベルーナは一夏と本音のことを少しだけ羨ましく思っていた。根強いアプローチに影響された部分もあった。目の前の困難を越えるまで一歩も引かないその姿勢だけは、ベルーナも認めていたからだ。だから、僕も立ち止まるのではなく前に進む。
例え無茶でもリハビリを続ける。誰に止められようとも、これこそが自分の通るべき道だと信じているから。
だが、もしも。
もしもその道が全く間違った道であったなら。
誰がそれを正してくれるというのだろうか。
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