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SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百二十九話 おんぶとだっこ
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時点で死亡確定だ。なので穴に落ちる訳にはいかないのだが、かといって地面に落ちる訳にもいかない。地面に落ちたらその時点で体丸ごと砕け散ってアウトだ。寧ろ落下の衝撃が体に残るので、そちらの方がよっぽど達が悪い。

よって、リョウが選んだ落下地点は……

「サチ!衝撃注意だ!ぜってぇ振りおとされんなよ!!」
「っ、う、うんっ!!」
リョウの声を聞いてサチが先程までより強く彼にしがみつく。ちなみに余計に顔が赤くなった。

直後、ガスッ!!と音がして、冷裂がグレートボイドの“壁面”に突き刺さった。

「ぐっ、おっ……!!!」
「んんん……!!」
槍部分が地面に直撃してもリョウの筋力値が冷裂が真横の状態であることを強制し、そのまま地面であり壁面である場所に冷裂が深々と突き刺さる。大量の土と岩が削れる耳障りな音が数秒続いて……徐々に落下スピードが落ちる。

「ぬぐぉぉ……!」
「んんっ……!」
冷裂にしがみつくのに必死な様子のリョウと、リョウにしがみつくのに必死なサチの落下はやがて止まり……

「……ふぅ、止まったか……」
「す、すごいね……」
そして完全に、二人の落下は停止した、地上から恐らく下に30M程度。その場所に、二人は宙ぶらりんの状態では有るが、確かにまだ生きていた。

「さて、と……さっさと脱出しねぇと……サチ、動けるか?」
「え?あ、うん。何とか……」
「んじゃあ俺の後ろに回れ。んで俺におぶさる感じになれ、出来るか?」
あっけらかんとしたリョウの言葉に、サチはまたしても真っ赤になって(と言うか先程から殆どずっと顔が赤いのだが)聞き返す。

「ふぇっ!?お、おぶさるの!?」
「おう。何か問題あるか?」
「え、えと、いや、その、な、無いけど……」
「なら早くしろ、何時までもそのままじゃ辛いだろうが」
さて、問題ないとは言ったが、サチの頭の中は現在進行形でどうしよう大変だ状態である。
おぶさる。と言う事はつまり、相手の首に腕を回すと言う事だ。普通この歳の男女がそんな事をする状況と言ったら大抵は正面に回って……

「〜〜〜〜〜っ!?」
と、其処まで考えて頭をぶんぶん振ると、サチはとにかくリョウの指示に従う事にした。リョウの体にしがみつきながら慎重に移動を始める。が、時折また想像が頭の中に沸いてそれを振り払う。

さて、人間誰しも、考え事などしながら行動をすれば大抵は上手く行かない物だ。ましていちいちそれを振り払う方に頭を使っていたらそれは当然な訳で……その例に違わず、サチは手を滑らせた。

「あっ……!!」
リョウの体を掴んでいた腕がずり落ち、一気に彼女はバランスを崩す。即座に体が落下を始め、地の底に……

「っと!」
落ちる前に、リョウがサチの“手”を掴んでいた。

「……あ
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