暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百二十九話 おんぶとだっこ
[5/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
………」
「っ!」
グラリ、と彼女の体が後ろに倒れる。しかも都合の悪い事に彼女が居るのは氷の端っこ。倒れた先に、地面が無い!

「っ、駄目っ!!」
「!?サチ!?」
反射的に、サチは走り出していた。死亡すればデスペナルティが付く。それに目の前で落ちそうになっているアウィンの姿を見たと言うだけで最早彼女が走り出すには十分な理由だった。落下する足場の上を器用には知ってアウィンのアバターの手を掴み、落ちようとする勢いを利用して遠心力で体を回して彼女の体を内側に投げる。

「よ、よかった……」
「サチ!!」
「え?」
ほっと息を付いて、アスナの悲鳴じみた声で気が付いた。遠心力で彼女の体を戻すと言う事は……

「あ、わ……」
自分がその外側への遠心力を受けると言う事なのだ。

「サ……!」
アスナが手を伸ばした直後、サチはバランスを崩して足場から消えた。

「しまっ……!」
「サチ!」
「サチさん!!」
「ッ!!」
キリトや他のメンバーが一斉に声を上げ、下を覗き込もうと足場の端に寄る……よりも早く、一つの人影が飛び出した。

「馬鹿がっ!!」
それは何のためらいもなく氷の足場から飛び出すと、下に向けて突き技のソードスキルを放ち加速。後ろから聞こえる自分の名を呼ぶ声にも構わず落下していく黒いローブの少女に一気に接近すると……その体をしっかりと抱え込んだ。

「……?」
「オイ馬鹿、何落ちてんだお前は」
「!!?!?!!?」
恐怖からか眼をしっかりと閉じていた彼女がうっすらと目を開けると、目の前にリョウの顔が現れており、彼女は声も出さないほどに一度驚く。

「り、りりりり、りょう!!?な、なんで、どうして!!?」
「どうしてもこうしてもあるか馬鹿!!ったく物の見事に落ちてくれやがって死にてぇのかってんだ……まぁいいや、良いからちゃんと掴まってろ!」
「え、え!?」
混乱の抜けないらしいサチは答えに困ったようにパニクるが、リョウはその様子に苛立ったように更に怒鳴る。

「掴まってろっつの!!何処でも良いから服掴む!捕まる!!はよしろ、振りおとすぞ!!」
「っ、は、はいっ!!」
と、サチは少しだけ冷静になって考える。思わず思いっきりリョウの体を掴んだが、これはつまり抱きついて……

「〜〜〜〜〜っ!!(ボフンッ!)」
「行くぞっ!!」
意識した途端に顔が真っ赤になったサチには目もくれず、リョウは今度は真横に向けて突き技のソードスキルを発射した。

────

横に向けて突き技のソードスキルを発射したのは、無論進路を横に変えるためだ。
現在リョウとサチは直径一キロにも及ぶグレートボイドの真上に居る。このまま落ちれば穴の中に落ちて、二人ともマップの設定されていない範囲外に出るのでその
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ