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SAO─戦士達の物語
キャリバー編
百二十九話 おんぶとだっこ
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ぶのは……」
「あはは……む、無理かな……」
「俺だけでも……行けるか怪しいわなぁ……」
相変わらず冷静なシノンの言葉に、リョウとサチが言った。ちなみにサチは苦笑してこそいるが、顔が引きつっている。怖いの見え見えだ。
揺れが強すぎて立てない上に、一番下の根っこまででも少なくとも十メートルは有る。いくらなんでもきついだろう。

「ちょっと世界樹ぅ!!そりゃいくらなんでも薄情じゃないのぉ!!?」
「そうだそうだー!恩人だよー!!?」
リズとアイリがそんな事を怒鳴ったが、まぁ木を相手にそんなことを言っても無駄である。

「よ、よし!こうなりゃクラインさんのオリンピック級超絶ハイジャンプを見せるっきゃねぇな!!」
そう言うと、クラインは直径六メートルの床を一気に走りだし……

「あ、バカよせ!!」
リョウが止めるのと同時に、一気に垂直にジャンプした。
記録は……三メートル五十と言ったところか。六メートル程度しか助走していない事を考えると流石に筋力も重視しているだけあって立派だが……しかし流石に天井までは届かず、地面に向けて一直線に落下し、ズシーン!と盛大な音を立てて着地した。
途端にそのショックのせいで──少なくとも十二人全員が後々までそう信じている──周囲の壁が一気にヒビを立て……城の最下部。あのとんがっている部分が、本体の城から、分離した。

「く、クラインさんの……バカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!↑」
珍しく他人を本気で罵倒したシリカの裏返った声を尾に引きながら十三人+一人+一匹は無限の自由落下を始める。

さて、こんな所で行き成りなんだが、読者諸君、現在までに一番この状況に反応しそうな人物がこの揺れと落下に反応していないのにお気づきだろうか?
そう、この中で一番の高所恐怖症である、アウィンである。

別に、彼女は今回に限って恐怖症が抜けたわけではない。寧ろ逆。根っこが伸び始めてからずっと、恐ろしくて一言も発する事が出来なかっただけだ。
しかも、直立不動のままで。
しかし、唯城が揺れるだけならまだよかった。それはまだ固定された地面が有ったからだ。しかし今、その寄るべき足場が落下する超高速下降エレベーターに変わった為に……彼女はついに、限界に達っした。

「…………」
「あ、アウィン?」
この状況でなら真っ先に悲鳴を上げそうなアウィンの異変に初めにに気が付いたのはサチだった。この落下の中直立不動で動かない彼女に声を掛けるも、彼女は全く一切答えを返さない。不審に思って見てみると……

「え、あ、アウィン!!?」
「…………」
アウィンは白目を向いて、完全に停止していた。恐らくアバターが残っているだけで、自動ログアウトしているだろう。
そして都合の悪い事に……

「…
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