キャリバー編
百二十九話 おんぶとだっこ
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、この剣を握るに足る人物には近付いた。
『そう、思いたいよな』
内心で苦笑すると、リョウが後ろからキリトを促す。背を押されて、一歩踏み出し、剣の柄に手を掛けようとして……不意に思い立った。
「……なぁ、兄貴」
「ん?」
「これ、二人で抜かないか?」
「あぁ?」
リョウは怪訝そうにキリトを見る。確かにリョウはこのメンバーの中で一番の筋力値を持っているが、実際に剣を使うのは自分だ。本来なら、此処は自分が抜くべきなのだろう。それは、キリトにも分かってはいた。
しかし自分があの時あぁ感じたように、リョウもまた、一人のゲームプレイヤーとして、あの時同じ違和感を覚えたのではないだろうか?何となく、そんな事を思ったのだ。
無論、確信は無い、無いが……頭を掻いて「いや、その……」と口ごもるキリトにニヤリと笑って「んじゃ、お言葉に甘えますかね」とリョウが言った事で、それは確信に変わった。
「さて、そんじゃいくぜ?」
「おう。何時でもどうぞ?」
二人で柄を握って、互いにニヤリと笑い合う。
彼等の後ろでは仲間たちが期待した視線でその様子を見ていた。
「「せぇ、のっ!!」」
そろって掛け声に続けて、大きく、そして爽快な破砕音と共に、ついに最強の剣はその刃を抜き放たれた。
手の中に収まった重々しい(まぁリョウにしてみるとそうでもないのだが)剣を抱いて、二人は顔を見合わせる。一瞬溜めて、歓声をあげようとした──その時だった。
「うおっ!?」
「なっ!?」
突如、抜き放った台座で綺麗に断ち切られていた根っこが、凄まじい勢いで伸び始めたのだ。
と同時に、天井の更に上から、滅茶苦茶な轟音が近づいてくるのが分かる。透明な氷を見上げると、リョウ達が降りて来たらせん階段を粉砕しながら、やはり木の根っこが一気に伸びて来ていた。エクスキャリバーが抜き去られた事で、世界樹が息を吹き返したのだ。
そうして、世界樹の巨大な根と、台座から延びる細い根が絡まり、繋がり……融合した。
突如、これまでの揺れとは比較にならないそれが、巨城全体を覆った
「おわっ……こ、壊れ……!?」
クラインが言うと、全員が互いに体をホールドし合い始める。ヒョウセツが焦ったような声で言った。
「し、城そのものが崩壊を始めています!」
氷が透明であるために見える外を見渡すと、確かに彼女の言う通り、城が次々に巨大な氷塊に変わり、崩壊し始めていた。
「駄目です!スリュムヘイムが崩壊します!!パパ、脱出を!!」
「脱出……ったって、何処からどうやって!!?」
そう、此処に降りて来る為に使用した下りの螺旋階段は、先程の現象のお陰で見事に粉々になってしまったのだ。出入り口を塞がれた以上、最早この部屋から逃げる手立ては無い。
「根っこに飛
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