第四話、未来の記憶
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た眉間を揉む。傍らには、淡い緑色の髪を持つ青年、その姿をとったオーディンの補佐神、ラファエルの姿があった。
「この間、転生させた適合者の記憶ですか?」
「ああ。なぜあれほどまでにあの少年が自分への怨念を持っているのか気になってな……」
知りたくなると抑えられない。私の悪い癖だ、オーディンはそう言って腕を組んだ。
「……この少年の記憶はどうした?」
「オーディン様の言った通り、消すことはせずに封印いたしました」
「…そうか。ラファエル…もしかすると、あの少年はお前の封印術を力づくで破りかねんぞ?」
「そんな、馬鹿な…!」
余程、自らの術に自信があったのだろう、ラファエルは主の言葉を信じられないとばかりに反駁した。
「適合者の少年にかけた記憶封印術式は私の最高効力に近い効果を発揮しています!なんの記憶についての手掛かりのない過去の世界で、その封印術が解けるはずはありません!」
確かに、自らの補佐を務めるこの神の封印術には目を見張るものがある。この術を破るには、幾ら適合者であっても自力で破るのは不可能だ。
だが、
「ラファエル、落ち着いてよく考えよ。あの世界は彼の者にとって過去の世界。つまり、彼の者に縁のある者が数多いる世界だ。更に彼の者は死に逝く仲間を想って自害した。彼の者の記憶の手掛かりは、それで十分すぎるのではないか?」
「そんな…なら…!」
ラファエルの考えることは、主であるオーディンにもハッキリと分かった。
ここ最近、天界ではめったに見なくなった事象ーーー。
「うむ…恐らくあの適合者の少年が、未来の記憶を取り戻した暁には、天成が起こるかもしれぬ」
そう言い切って、驚愕して、なにもいえない補佐神を余所に、主神オーディンは楽しげな笑みを口に浮かべた。
ーーto be continuedーー
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