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勇者番長ダイバンチョウ
第5話 強敵、スケ番登場!男は女を殴っちゃいけねぇ!
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クレナイバンチョウだとぉ!」
「さぁ、喧嘩をおっぱじめようじゃないのさぁ!」
 怒号を上げて、クレナイバンチョウが怒涛のラッシュを叩き込んできた。
 ダイバンチョウとは違い威力こそないがその分手数が半端ない。それにかなり鋭いと来ている。
 その上、ダイバンチョウの防御力も大きく低下している為に何時もより痛く感じてしまうのだ。
「ほらほらどうしたんだい? まさかこんなジャブでダウンしちゃうんじゃないだろうねぇ?」
「ば、馬鹿言うんじゃねぇ! 天下のダイバンチョウ様が女の拳で倒れたとあっちゃそれこそ名折れだぜ!」
「言ってくれるじゃないのさ。だったら、あたいも本気を出させて貰うよ!」
 すると、さっきまで怒涛のラッシュを放っていた筈の拳を収めてしまった。
 何事かと思い眼前のクレナイバンチョウを見た時、それは飛んできた。
 今度は右回しに遠心力を備えて放ってきた蹴りだったのだ。
 威力が段違いに高い。拳などまるで撫でているようにしか感じないのだ。
 その蹴りを諸に食らい、ダイバンチョウは思い切り地面に倒れこんでしまった。
「ぐっ、がはぁっ! な、何だ今のは……」
「驚いたかい? あたぃはねぇ、こう見えても蹴りの方が得意でねぇ。生身でも岩盤位なら軽く砕けるよ」
「ど、どおりで……効く訳だぜ……づっ!」
 起き上がろうとしたが、どうにも無理そうだ。何時ものダイバンチョウならいざ知らず。大きくパワーダウンしているダイバンチョウではまるで話にならない。
 たった一発のキックを受けただけでこのざまである。何とも情けない話であった。
「駄目だ、起きれねぇや……体に力が入らねぇ」
「ちょ、ちょっと待ちなよ! そんなのないじゃないのさぁ! あたぃに倒れた人間をやれってのかいぃ?」
「んな事言ったってしょうがねぇだろ? 俺にゃもう立ち上がる力すらねぇんだよ。こうなりゃ俺も腹括るしかねぇや。煮るなり焼くなり好きにしな」
「ふ、ふざけんじゃないよ! あたぃは其処まで落ちぶれちゃいないってんだよ! 誰が倒れた奴を甚振れるかってんだ! この勝負はなしだ! あんたが全快になった時、その時に改めて勝負を申し込まさせてもらうからね!」
 何故か勝手にそう言い、そのままクレナイバンチョウは大空へと去って行ってしまった。
 どうやらこの場は見逃してくれたのだろう。窮地をどうにか脱したようだが、はっきり言って余り喜べる事態ではない。
 もしまた、あいつがやってきたら相当不味い事になりそうだ。
 だが、この弱点は恐らく一生消える事はないだろう。
 それが、轟番と言う人間でもあり、ダイバンチョウと言う勇者なのだから。




     つづく
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