第百三十六話 思わぬ助けその六
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「御主の出る幕はない」
「そしてわしも行こう」
池田の名乗り出る。
「だから御主は何処かに行け」
「おやおや、お二人は確か朽木殿と面識はありませんでしたな」
「そこはどうにかするわ」
奥村は強い言葉で返した。
「御主の考えることではない」
「いや、待て」
だが、だった。これまで沈黙していた信長がここで口を開いたのだった。
彼は己に顔を向ける森や池田達にこう告げた。
「ここは弾正に任せるとしよう」
「何と、こ奴にですか」
「朽木殿の件任されるのですか」
「殿、それは幾ら何でも」
「無謀です」
「大丈夫じゃ、こ奴は裏切らぬ」
信長は止めようとする森達に落ち着いた声で返す。
「絶対にな」
「いえ、こ奴は何度も裏切ってきております」
「三好家のことを考えますと」
「ここは断じてです」
「用いてはなりませぬ」
慶次以外の者は口々に言う、慶次だけは黙って月を見上げている。
特に池田と森だった、忠義ということでは平手に次ぐ二人は信長に対してとりわけ強く言い続けるのだった。
「助右衛門がよいと思います」
「こ奴だけはなりませぬ」
「殿、ここはどうかです」
「用いられぬ様」
「だから大丈夫じゃ」
やはりこう言う信長だった、顔も変わらない。
「こ奴はな」
「先程こ奴が言った通りだからでしょうか」
切れ者の奥村は松永を指差しながら己の主に問うた。
「だからでしょうか」
「朽木の兵でもわしを倒せぬというからじゃな」
「はい、そうなのでしょうか」
「それもある」
信長は奥村の問いにまずはこう答えた。
「慶次と才蔵がおればそれこそ千や二千は問題ではない」
「二人が無事結露を開くというのですな」
「それでじゃ」
二人が共にいる今はというのだ。
「まして勝三郎達もおるからな」
「朽木の兵は怖くありませぬか」
「全くな、何なら慶次に砦を壊されてもよい」
「ははは、それではまるでそれがしが呂布ですな」
慶次は武勇は同じだが性格は違うこの英傑の名前を出した。
「いや、それがしなら砦を敗ることも出来るやもですが」
「ははは、慶次らしいわ」
信長も慶次のその言葉を聞いて笑顔で応える。
「傾くのう、相変わらず」
「この通りでござる」
「けとにかくじゃ、この顔触れなら無茶も出来る」
森や慶次達七人を見ての話だ。
「だがそれでもじゃ」
「松永めはここでは」
「何もせぬ」
仕掛けてこないし罠も置いていないというのだ。
「安心せよ」
「ではここは」
「弾正、任せるぞ」
松永にも顔を向けて言う。
「それではな」
「畏まりました、それでは」
松永は微笑み信長に応えた、そしてだった。
彼は砦に向かいその門を開けさせ中に入った、毛利と服部はその後ろ姿
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