第百三十六話 思わぬ助けその三
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槍の者達が後ろに退いたその瞬間にだった、羽柴は軍配を下ろした。
「撃て!」
「はい!」
皆羽柴の言葉に応えそうしてだった。
鉄砲に弓矢が放たれる、その二つの攻撃で。
敵を撃ちそれで怯ませた、それと共にだった。
羽柴は再び軍配を下ろし今度はこう叫んだ。
「よし、退くぞ!」
「では!」
彼等が退いた瞬間にだった、明智は彼等を援護する形で横に揃えていた鉄砲隊を撃たせる、それで後詰の退きとしたのだ。
それでだった、羽柴は敵が怯んでいる間にだった。
後詰を勢いよく走らせた、その時に秀長に言った。
「敵が姿を見せればじゃ」
「その時はですな」
「そうじゃ、すぐに振り向き戦うぞ」
再びそうするというのだ。
「よいな」
「わかりました」
「ではこの際です」
蜂須賀がここで羽柴にこう言って来た。
「一つそれがしに策があるのですが」
「むっ、何じゃ」
「まきびしを撒きましょう」
ここでこう言ったのである。
「これはどうでしょうか」
「おお、忍の者が使うあれか」
「今は夜、夜に撒けばです」
「見えないだけに昼よりも効果があるな」
「左様です、如何でしょうか」
「そうじゃな」
羽柴も蜂須賀の言葉に頷く、そしてだった。
蜂須賀は実際にまきびしを撒かせそのうえで退いた、これはかなりの効き目があった。
朝倉の者達が何とか追おうとする、だがだった。
彼等は駆ける中で足に痛みを感じた、そして足元を見ると。
「何じゃこれは、まきびしか」
「この様なものを置いておるのか」
「織田も忍の様な真似をするのう」
「忍の出の者もいるというが」
「ううむ、あざといわ」
「中々せこい手を使うわ」
口々に罵る、だがだった。
これでは前には進めない、それを聞いた長政も苦い顔でこう言うだけだった。
「この夜は仕方がないわ」
「では朝になるまではですか」
「まきびしが何処にあるかはっきりわかるまでは」
「うむ、足止めじゃ」
それを受けるというのだ。
「仕方がないわ」
「ですか、無念ですな」
「ようやく朝倉殿が意気を出されたというのに」
彼等はこの夜の攻めは朝倉家の者達がしたと思っている、当然長政もそう見ている。
それでだ、ここでこう言うのだ。
「宗滴殿が来られた様な見事な攻めだったが」
「しかし宗滴殿は今は一乗谷です」
「そこにおられます」
「それであの動きですが」
「見事でしたな」
「うむ、全くじゃ」
長政は真実を知らないまま頷いた。
「あのままいけば後詰も抜けられたがな」
「織田家も援軍が来た様ですし」
「それではですな」
「仕方がない、しかし今宵動けぬとなると」
どうなるかというと。
「これではな」
「攻めきれませぬか、最早」
「逃
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