第百三十六話 思わぬ助けその二
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「来るのは前からだけよ」
「でjはただ前を攻めれば」
「それでよいですな」
「迷うことはない」
全くだというのだ。
「ただ攻めればよいのだ」
「そして頃合を見て退く」
竹中も言う。
「それだけのことだ」
「そうですな、簡単ですな」
「ただ前を攻めて頃合を見て退くだけですから」
「何も難しいことはござらぬ」
足軽達も彼等の言葉を受けて意気上がる、しかもだ。
これまでの三千から兵がさらに増えている、竹中達が連れて来た兵達だ。
大谷はその兵達を見せながら羽柴に語る。
「この者達も皆生きて帰るつもりの者達です」
「それを連れて来てくれたか」
「はい、是非戦いましょうぞ」
「そうじゃな、それではな」
羽柴は大谷の言葉に確かな微笑みで頷いた、まさに百万の味方を得た気持ちだった。
後詰はいよいよ意気上がる、これで迫る兵達を退けられ退くことが出来るという望みが強くなった、しかもそこにさらに。
明智も来た、彼もまた青で揃えた兵達と共に来て言う。
「羽柴殿、及ばずながら」
「おお、明智殿でござらぬか」
「はい、参上しました」
そうしてきたというのだ、それと共に。
率いている鉄砲隊に派手に撃たせる、そのうえでこう言うのだ。
「こうして我等も撃ちます故」
「我等はその間に」
「お退き下さい」
そうしてくれというのだ。
「共にそうしましょう」
「では」
羽柴も明智のその言葉に頷く、そしてだった。
彼はここで一気に賭けに出た、加藤達だけでなく島や大谷達に対しても声をかけたのだ。
「よし、ここは」
「はい、どうされますか」
「明智殿も来られましたが」
「前から来る敵に鉄砲だけでなくじゃ」
「弓矢もですか」
「それもですか」
「そうじゃ、一気に仕掛けてじゃ」
そしてだというのだ。
「敵を怯ませて一気に退くぞ」
「兄上、それは上手くいけばよいですが」
秀長は羽柴のその策を聞いて難しい顔で応えた。
「しくじれば」
「その時はじゃな」
「退くことにしくじれば攻めきったところで敵に迫られます」
それでだというのだ。
「危うくなりますが」
「それはわかっておる」
羽柴にしてもだ、だが今は。
「明智殿もおられる、援護もしてくれる」
「明智殿もですか」
「あの御仁がおられるのなら憂いはない」
明智を心から信じているが故のことだった。
「ここはそうしようぞ」
「ではこれは安心出来る賭けですな」
「そうじゃ」
まさにそれだというのだ。
「ではよいな」
「わかりました、ではここは」
「皆鉄砲に弓矢を取れ」
無論長槍の者達は長槍を構える、だがそれは普通に構えてはいない。
敵が来る前に何重にも槍衾を作らせている、その槍衾で敵の突進を防ぎながら。
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