TURN84 山下の焦りその九
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「海軍さんと陸軍さんの交流は疎遠でした」
「ではそれをですね」
「これからは」
「はい、早速親睦会を開きましょう」
海軍と陸軍のだというのだ。
「ペルー戦の後にでも」
「祝勝も兼ねてというのはどうでしょうか」
ここでまた帝が言う。
「それですとあの堅物の山下長官もパーティーに参加しますね」
「実は山下長官や陸軍の方々は」
日本妹がパーティーにおける彼等の話をした。
「そうしたことについては贅沢と仰い」
「そしてですね」
「出られません」
山下をはじめとして陸軍は贅沢を徹底的に嫌う、それでなのだ。
「山海の珍味が揃っている宴なぞと仰って」
「利古里ちゃんらしいですね」
帝はついつい山下の下の名前を出した。
「そうしたところは」
「美徳ではありますが」
「今時食事は贅沢ではありませんよ」
相当なご馳走でもだというのだ。
「この銀河の時代に」
「それこそ食料は幾らでも作ることができます」
首相である伊藤も話す。
「それこそ」
「その通りですね」
「確かに粗末にすることは言語道断ですが」
「宴に出て来る位の食事なら」
「どうということはありません」
伊藤は日本妹に現実を話す。
「むしろ陸軍さんの普段の食事が」
「あれは凄いですね」
帝もやや引く程度だ。
「御飯におかずにですね」
「味噌汁位です」
「栄養は考慮されていますね」
「それは充分にです」
流石に考慮されている、幾ら質素でもだ。
「ですがそれでもです」
「今でもそこまで質素ですか」
「酒も日本酒ですが」
「他のお酒はですね」
「出ません」
出ない理由は言うまでもない。
「軍服も裏のほつれを縫い、徹底的に着倒します」
「靴も他の物品も」
「そうです、使い古します」
「手入れをしていることはしていますね」
「それも徹底してますが」
「質素に過ぎるのですね」
「あまりにもです」
伊藤から見ても陸軍のそれはかなり極端だった。
「ですから親睦の宴も」
「参加しないと」
「中々難しいですね」
帝はここまで聞いて言った、そしてだった。
親睦会について少し考えを変えた、そのうえで伊藤と日本兄妹に対してこう言ったのだった。
「では普通の宴ではなく」
「どうされますか?」
「こうしてはどうでしょうか」
帝は三人に言った。そうしてだった。
まずペルー攻略戦だった、今度はメキシコに行った軍もキューバに行った軍も一緒だった。
だがアルビルダだけは留守番だ、彼女は怒りながら今出撃するアイスランドに問うた。
「何故私はいつも攻略戦には参加させてもらえないのだ!」
「治安が回復してからの合流だね」
「そうだ、それは何故だ!」
「暴れるから」
これが理由だった。
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