第44話 寺子屋へ行こう
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ていた少年が訪ねて来た。
間延びした語り口調で銀時と似た様な死んだ魚の様な目をしており、鼻からは鼻水が垂れ流しっぱなしと言う結構だらしない風体に見える。
「そやでぇ。君は誰なん?」
「ん〜、僕は大五郎。北大路大五郎って言うんだよ〜」
相変わらず間延びした声で話す大五郎。名前は結構立派そうである。
「にしてもお前、随分間抜け面だなぁ」
そんな間抜け面を見ていの一番にヴィータがはやしたてる。どことなく大五郎の顔が銀時に見えてしまったからなのだろうか? それとも単にいじめっ子体質なのかどうかは永遠の疑問だったりする。
「あ〜、そう言う君はさっき入り口で看板の字読めなかったアホの子だ〜」
「ぐっ! あ、あたしはこの国に来てまだ日が浅いから漢字とか読めないだけだっつぅの!」
「でもその割には結構偉そうにしてたよね〜。外国の人って皆そんな感じで偉そうにして馬鹿なのを隠してるの〜?」
間延びした口調なのに何故か痛々しい事を止め処なく聞いてくる大五郎氏。そんな大五郎氏に対しヴィータの額や頬辺りに青筋が立ち始める。
元々短気な彼女が大五郎のその言葉にドッシリと構えていられる筈がないのは既にご承知の筈だったりする。
「こんのガキャァ! 好き勝手抜かしやがってぇ! ぶっ潰してやるから表出やがれぇ!」
「ちょっ、ヴィータ! 落ち着きぃや!」
突如立ち上がり、大五郎に対し殴り掛かろうとするヴィータをはやてが必死に止めに入る。
本来主である筈のはやてが体を張って守護騎士を止めると言う何ともシュールな光景であった。
「まぁまぁヴィータちゃん、落ち着きなよぉ。ヴィータちゃんが馬鹿なのは皆知ってる事なんだからさぁ」
「同じ馬鹿のお前にだけはそんな事言われたくねぇ! ってか、お前も漢字読めなかったじゃねぇか!」
遠目からなのはも止めようと声を掛けたのだが、返って激情してしまったようだ。
正に火に油を注ぐとはこの事である。
「やれやれ、折角新しい奴等が入ってきたかと思えば、とんだ馬鹿が入って来たもんだぜ」
「!!!」
突然、横から大五郎の声が聞こえてきた。だが、さっきの様に間延びした声ではない。刃の様に鋭く尖りを見せた言葉であった。とてもさっきの鼻垂れ小僧の言葉とは思えない鋭利で背筋が凍るような言葉であった。
三人が一斉に大五郎の方を見る。
言葉もそうだったが、それだけじゃなかった。
目の色が明らかにさっきとは違っている。まるで獲物を駆る肉食動物の様に鋭い目線をしている。さっきまで垂れていた鼻水は既に引っ込んでおり、今の彼は全く別人の様にも見えてしまうのだ。
「だ、大五郎……君?」
「方や同じ江戸の人間の癖に漢字が読めない馬鹿。もう片っぽは漢字も読めない上に短気で切れ易い異人かぁ。こりゃこれから先大変だぜ。何せ馬鹿を
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