第44話 寺子屋へ行こう
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
重苦しい空気が部屋内を支配していた。此処、真選組屯所内にて、副長の土方十四郎と近藤勲が対座していた。その二人意外には誰も居ない。
その二人しか居ないからこそ、この重苦しい空気が出来上がるのかも知れない。
「見ての通りだ近藤さん。奴等、そいつを使って何かとんでもない事を企てているに違いねぇ」
「なる程、ところでトシ、一つ良いか?」
「どうしたんだ?」
「さっきから言おうと思ってたんだが……これ、何の設計図なんだ? って言うか、これ設計図なのか? 見ててもさっぱり分からないんだが」
どうやら近藤の脳みそではそれを理解するのは酷だったようだ。土方は溜息を吐いた。
そんな事まで説明させるなよ。とでも言いたげな雰囲気を出しながらも説明を挟んだ。
「さっきも言ったと思うが、奴等はその大掛かりなカラクリを使って何かとんでもない悪事をしようとしているって事なんだよ!」
「トシ!」
近藤勲の顔が何時にも増して強張って見えた。ようやく事の重大さに気付いたのだろう。土方もそれを察し、顔を強張らせる。
「悪事って……なんだ?」
真顔でそんな事を聞いてきた近藤。土方はまるで待ってましたかの如しに思い切りずっこける。
「あんたそれでも局長かぁ!」
「す、すまん! と、とりあえずこれが何かやばいものだってのは分かった」
怒り顔になる土方に青ざめながらも近藤は了承を見せた。そうでも言っておかないと多分殴られるだろうと思ったのだろう。
「とにかく、今その設計図の元を全力で探させている。奴等が手を出す前にそれをどうにか押えたいんだが、一つ問題があってなぁ」
「と言うと?」
「これからでかい戦いの準備で隊士達は皆ピリピリしだす。そんな場所にガキ共を置いておきたくはない。近藤さん、何とかならんか?」
土方が気掛かりにしているのははやて達の事だ。これから真選組は大きな戦いに備えて隊士全員が臨戦態勢に入る事になる。そんな状態の隊の中に幼い子供を置いておくのはいささか教育に悪い。そう思ったのだろう。だが、下手に彼女を泳がせればそれこそ危険極まりないと言える。
此処は江戸のかぶき町。歓楽街と言うだけあり、その裏には犯罪や攘夷の目もはびこっている。
その中には、彼女が真選組の元に身を寄せていると言う事を知っている者も居たりする。そんな者達の手に落ちようものならこちらの弱みを握られる事となってしまうだろう。
「何所かに身を置ける場所が必要……と、言う事か」
「あぁ、俺としてもこうピリピリしている状況の中にあんなガキを置いておくのはちと心苦しいからな。何かないか? 近藤さん」
鬼の副長と言われた土方とて畜生ではない。人の心を宿し、遭えて鬼の道を行くからこそ鬼の副長と言われているのだ。
その土方だからこそはやての身を案じてこうして近藤に相談
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ