第64話 少年達は戻って来るようです
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いかしら?」
「し、してませんよ!何を言い出すんですか!?」
「それと、静かになさい。ようやく寝たんだから。」
何時から居たのか、ノワールさんが後ろから現れ、冗談と脅迫と叱責と忠告をして来る。
割と全部本気で。・・・いや、見惚れてたのは確かと言えば確かなんだけど。
「あの、話をしようと、思って、来たんですけれど………。」
「起こせと言うの?言わないわよね?言う訳がないわ。」
「はい、その通りです………。」
三段活用(?)で拒否と否定を食らい、しくしくと涙を流す。それでもおめおめと帰る事も出来ず、
座って地平線を見る。暫くの間、髪を梳く音と寝息と波音だけが聞こえてくる。
穏やかな雰囲気に眠気を一瞬だけ覚えた所で、ノワールさんがぽつりと言う。
「全く………本当に、しょうがないわね。」
それは独り言だったのか、愁磨さんに当てたものなのか。
はたまた僕に当てたものかは分からなかった。けれど、多分話の内容からして、全部だったのだと思う。
「シュウね、いつからか寝なくなったのよ。」
「え、と。偶に、寝ている所に出くわしたと思うんですけど。現在進行形。」
「ええ、そうね。寝てはいるのよ。」
「はい……?」
話が見えず、ぽかーんとする。しかも、そこでまた喋らなくなってしまう。
さっきと同じように三つの音だけが聞こえるけれど、話の途中だから、居心地が悪くなる。
こちらから何か言おうかと思った所で、ぽつりぽつりと話しだす。
「私はね、明るくなり始める時間に星を見るのが日課なの。儚く消えて行く星が見たくて。
屈折してるでしょ?」
「い、いえ、そんな事は。早起き、なんですね。」
「……フフ、相変わらずずれてるわねぇ。……それでね。ほんの十分くらい見た後、また寝るの。
そうすると、居間のソファにシュウが座ってるの。毎日。」
相変わらず仲が良いんだなー、と思ったけれど、多分違うんだろう。
思えばこの人達は、毎日一緒に寝る人が違うって言ってた。
違う部屋で寝てる時も、必ず起きだして来る―――愁磨さんならあるかもしれないけど・・・。
「エヴァはね、今でも………悪い夢を見るの。不定期にね。
その時外を散歩したり、まぁ、色々して帰って来ると、シュウが居間に居るんだって。」
「………すごい、ですね。」
「アリアもね?ふと起きた時とか、絶対頭を撫でてくれてるって言ってたわ。」
そんな話を、全員分聞かされる。夢見が悪い時だけじゃなく、物を割った時、小競り合いしている時、
驚いて悲鳴を上げた時、何となく一緒に居て欲しい時。数え切れない、何気ないちょっとした危
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