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マザーズロザリオ編
episode5 『仲間』3
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トフラッシュ。

 俺の狙いに気付いたリーダーが慌てて槍を引っ張るが、抜けない。離れない。離すものか。

 「アサシン隊! 早くこいつを!」

 男の咄嗟の指示が飛び、応えたプレイヤー達のナイフが俺を貫く。減りだすHP。視界の端で、更にエンドフレイム。敵のものか、それともファー達のものかも分からない。だが、それももう、些細なことだ。あとは。

 あと、俺が為すべきは。

 「くらえええ!!!」

 絶叫を上げての、解放。

 HPが最後の一ドットだけ残るその瞬間まで引っ張った、ぎりぎりの瞬間での一撃。減速がさらにスローになった今だけしか不可能と思える、必殺の一撃。

 (……勝負!!!)

 相手は、伝説級武具。その耐久度は、決して少なくない。
 削れるか。砕けるか。

 次々とその柄に走る、無数の罅。その罅が。

 「――――ッ!!!」

 標的を砕く前に、停止した。





 止まって、しまった。

 俺では、勝てなかった。終わった。
 俺の、エンドフレイムに包まれる直前の顔が歪み、次の瞬間。

 「っっっ!!?」

 驚きに包まれた。

 「―――ッ!!!」

 俺のエンドフレイムごと貫く、後ろからの突進。ファーだ。守りを捨てた重装槍の一撃が、過たず敵の槍に衝突する。罅が、更に広まっていく。両手槍の突進の勢いを余さず乗せた強烈な攻撃に、敵の槍が大きく弾かれる。

 違った。確かに俺は、負けた。
 俺は伝説級武器の耐久度に勝てなかった。

 しかし、そうだとしても、まだ、俺達(・・)が負けたわけではない。

 まだだ。
 まだ、仲間達が、戦っているのだ。

 (……頼むっ!!!)

 慌てた敵の剣が、槍がファーを滅多打ちにし、その膨大なHPを吹き飛ばし。
 そして。

 「……げーむ、おーばー」

 後方から飛来した、超長距離投擲の一撃が、壮麗な槍を砕いた。
 色褪せた視界を回転させるとそこには、得意げな笑みを浮かべる仲間たちの顔が映った。





 ボス攻略班は、撤退した。

 PKerを殲滅したとはいえその被害は甚大で、たとえプレイヤー達を全回復させたとしてもどうにもならない武器の破壊を受けていたからだ。その被害はユルド換算でギルドが傾くほどで、その班での攻略はおろか層のボスへ挑戦すること自体が不可能となることとなった。

 間違いなく、俺達の勝利だった。

 ミオンの作戦によってツカサとグリドースが「このALOには存在しないギルドのギルドタグ」を付けて迷彩してくれたおかげで直接的な報復こそ無かったが、もちろんそれでも、少なくない代償を伴った。レミやモモカのように非戦闘系の音楽妖精領からほとんど出ない
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