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マザーズロザリオ編
episode5 『仲間』3
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できる最後の手助けを、為すと決めたから。恨みを、涙を、罪を背負っていくと決めたから。

 それがあの夏の日、『彼女』のために殺せなかった俺の。
 それがあの秋の日、『彼女』の下へいけなかった俺の。

 あのときできなかったことへの、せめてもの償いだから。





 決意が力に代わり、世界が、減速する。明滅する。
 その異様な色の空間を、俺は走り続ける。

 敵は、強大だ。奇襲はこの上なく成功していたが、その数は十も減っていない。対して、グリドースのHPはもう赤の危険域、ツカサとファー、ブロッサムもゲージを黄色く染めている。俺のHPだって、もう一分もすれば半分を割り込むだろう。

 勝ち目はない。

 敵のダガーナイフが、俺の脇腹を掠める。それが引き戻される前に握り締め、《クラッシュ・バインド》。強烈なエフェクトフラッシュに紛れて、俺のHPがまた削られていく。そしてなにより、ぎりぎりの攻防で俺の精神は着実に削られていく。

 けれども。

 (……まだ、戦える…)

 疲労で崩れそうになる膝を根性で奮い立たせる。

 まだ、誰も倒れていない。誰一人、諦めていない。皆が俺の力を信じて、走り続けているのだ。その事実が、俺の飛びかけた意識を何度でも繋ぎとめる。

 「おおおっっ!!!」

 絶叫して、駆け抜ける。
 その先に見える、一人のプレイヤー。

 一際豪華な鎧を纏った、巨大な両手槍を携えた男。明らかに伝説級と思われる装備品を一式揃えたこの男は、俺の記憶が正しければ、この連結パーティーのリーダー。その鋭い視線が、俺の視線と交錯する。相当にはらわた煮えくりかえっているだろう。ボスモンスター二人を倒すために集めたレイドパーティーが、訳も分からないうちにPKerに襲われて、次々と武器喪失させられているのだから。

 「くそがっ!!!」

 エフェクトフラッシュを纏って振り下ろされる、豪勢な槍。辛うじてかわしたものの、恐るべき威力の一撃が床を大きく抉り飛ばす。衝撃だけで周囲のプレイヤーを弾き飛ばす打ち下ろしが、俺のHPを決して少なくない量を削る。既に、赤の危険域。

 しかし、それは。
 冷静さを欠いた、決定的な、隙。

 俺にとっては、最後の、好機。

 「あああっっ!!!」

 視界の端で、爆散するエンドフレイム続けざまに光る。その暗い色合いから察するに、ツカサとグリドースだろう。心の中でだけ、ナイスファイト、とつぶやく。陽動の役目を、二人は完璧にこなしてくれた。これ以上ないくらいに、駆けまわってくれた。

 「うおおおおっ!!!」
 「っ、くっ、そがあああっ!!!」

 硬直時間で動けない相手の槍を、あらん限りの力を込めて握りしめる。
 強烈な青のエフェク
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