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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
マザーズロザリオ編
episode5 『仲間』2
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塗られた刃は光すらも反射せず、火球の炸裂が眩いせいで余計にその察知が難しい。明るすぎる火球が見えるせいで、見えにくい刃に集中できない。見える炎と、見えない刃。しかもその遠隔攻撃は、敵味方の配置が目まぐるしく変わる乱戦の中で、俺達には当たらないように絶妙な調節をされて放たれている。

 (……すげーわ、マジで……)


 詠唱しながらの投擲であるということを忘れさせる程の強烈な波状攻撃は、それが一人で行われているものだとは信じられないほどの威力で敵の大群のHPを纏めて吹き飛ばしていく。

 「くっ、メイジを先に落とすぞ! 俺らが行く、第二班、ついてこい!」

 だが、敵も当然撃たれるがままになっている訳ではない。

 素早く対応したバンダナの土妖精が走り出す。その手に構えるは、巨大な戦斧。一気に距離を詰めて、カタをつけるつもりなのだろう。男を筆頭に、七人が一斉にレミのいる方へと走りだす。

 その、眼前に。

 「…ッ!!?」「くっ!!!」

 声も無く、一人の男が立ち塞がった。

 全身を碧く輝く分厚い鎧に包んだ、大柄な騎士。巨大な両手槍を備えたそのプレイヤーが、突っ込んできたパーティーの前衛を纏めて薙ぎ払った。ファーだ。その無言の振る舞いは、「行かせない」という揺るがない強固な意志を俺に感じさせた。

 「くっ、くそっ!!!」「落とせ!」「すぐに仕留めろ!!!」

 青騎士に突っ込んだ敵パーティーの攻撃担当は、五人。後ろの二人が魔法攻撃を防ぐための支援メイジだとしても、一対五。圧倒的不利な状況で、今までのファーなら慌てて助けを求めていただろう状況にも関わらず、その姿は微塵の動揺も見せずに敵の剣を捌き続ける。

 あまりにも流麗で落ち着いたその槍捌きは、襲いかかる五人に異常な恐怖を呼び起こさせる。

 (……オイオイ……)

 遥か昔に、俺とソラが遊び半分に考えた、「ぼくのかんがえたさいきょうのきし」。SAO時代に強力なアイテム群を用いて夢想したその『青騎士』は、俺達の想像を超えた成長を見せていた。あの頃のアイテムが無くても、「敵に恐怖を植え付ける」というその本領を見せつけるほどに。

 強くなった。ファーは、本当に強くなった。
 もはやその強さは、俺やソラを超えるかもしれないと思えるほどに。

 あの卵の殻の付いたヒヨッコの様だったこの重装戦士が、ALOでも最高レベルの攻略ギルドを、単身で足止めするほどに。

 「くっ、一対五だぞ、はやく仕留めろ!」「だ、だめだ、固い!」「遊撃部隊、こいつは無視して先に弓兵にアタックを、」「う、うわああっ!!?」

 長槍の隙間をくぐって奥へと進もうとした二人の軽装戦士が、派手な音を立てて転倒した。死角に放たれた、足を絡め取って光る水の荒縄は、《ア
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