暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
マザーズロザリオ編
episode5 『仲間』2
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れなかった分まで。

 「はぁっ!!!」
 「なっ、なっ!!?」「う、うそっ!!?」

 短剣を折られた男が驚愕の声を上げ、横の戦士がつられて目を見開く。

 一撃。恐らくボス戦に備えて最大まで耐久度を回復させていたであろうその短剣が、いくら他の武器に比べて耐久度に難のあるダガーナイフとはいえ、一撃で砕かれたのだ。《カタストロフ》を知らないプレイヤーにとっては、それはなかなかの恐怖だろう。

 「ひっ、うわっ!」「こ、こっち、くるなっ!!!」

 その様子を見た他のプレイヤー達の動きが、一瞬鈍る。そのチャンスを逃さず走り込むのは、ツカサとグリドース。ぬうっと突き出された手。先の悪夢を見た相手が慌てて武器を庇うが、その手はエフェクトフラッシュも纏わずにただただプレイヤーを突き飛ばした。

 (……作戦、通り、だな、ミオン!)

 このALOでの集団戦を行う前に、ミオンと徹底的に討論して立てた作戦。ソードスキルや魔法、ファンタジーな武器に慣れないツカサとグリドースでも、こちらで戦えるようにするための戦略。拳闘の結果、作戦参謀たるミオンは、ツカサ達にソードスキルを始めとするALO独自の要素を練習させることを放棄した。

 その代わりに、彼らの最高の持ち味である、《軽業(アクロバット)》のスキルを最大限に生かす方法を選んだ。

 「ほらほらっ!」「南無っ!」

 二人は、武器を装備していない。攻撃に参加せずに、「本命である俺がどれかを誤魔化すためのデコイ」として戦場を駆けまわっているのだ。その動きは時に壁を、時に天井を蹴り、また時には仲間と交錯するような軌道をとって「三人のうちどれが銀の手袋を持つか」を敵に悟らせない。

 そうすれば、《カタストロフ》を使えるのが俺だけであっても、相手には「三人の誰が武器破壊を遣えるか」が分からない。それはこの状況下では、「三人が《カタストロフ》を持っている」のと同じ対応を強いられることになる。

 そして。

 「う、うわあああっ!!?」「くっ、前衛!前にもいる!!!」

 大部隊の先頭を進んでいた部隊が、激しい爆発に包まれた。





 俺達が敵の中央部に入り込んだタイミングを見切っての、《エクスプロード・ブラスト》。「爆発」の名前通りの魔法は、眩く光を放った火球となって通路の至る所で炸裂して轟音をたて、そのダメージとエフェクトで敵を更に混乱に陥れる。レミだ。

 彼女は時に前進し、時に敵の攻撃を避けながら、次々と魔法を放つ。
 だが、彼女の攻撃手段は魔法だけではない。

 (腕を、上げたな……)

 SAO時代からの、彼女を象徴する特徴的な武器。
 飛来する刃、ブーメランは音もなく空を切って、そのまま敵を薙いでいく。

 艶消しの黒に
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