マザーズロザリオ編
episode5 『仲間』
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ためなら、私は千の兵でも万の魔物でも、この手で退けて見せましょう。私のこの力は、心は、いつも貴方様の思うままに』
ブロッサムさん。
無表情な切れ長の瞳が、一分の揺らぎもなく俺を見つめる。
本当に、世話になった。この世界でも、向こうの世界でも、いつも俺を支えてくれた。いつだって俺のことを助け続けてくれた。……今回もまた、助けて貰うことになる。しかし、俺は決めたのだ。助けて貰うと。引け目を感じても、それでも、助力を乞うと。
「よろしい。『反省』したようだな。作戦の方は、ミオンと話を詰めたのだろう? であるならば、恐れることは無い。拙僧も、微力ながら力を貸そうぞ」
こちらでもその特徴的な禿頭を見せつける闇妖精は、グリドース。
にやりと片頬を吊り上げるような、気障ったらしい笑みを浮かべながら俺を見やる。
そうだ。もっと早くに反省して、知るべきだった。俺には、こんなにも素晴らしい仲間達がいることを。皆が、こんなにも力強く、俺の為に戦ってくれるということを。
「今回は、蚊帳の外じゃあないみたいだね? 勿論オレも、存分に戦わせてもらうよ? オレ達は、『君を助けたい』んだからね?」
最後に答えたのは、楽しげに目を細める風妖精の優男、ツカサ。
その差し出された拳に、俺は泣きながら笑って、自分の拳を打ち合わせた。
◆
二月一日。決戦は、その日となった。
既に俺は、連日の見張りで何日まともに寝ていないのか分からないような状態だった。その影響で視界はぼやけ、頭は鈍っているが、今はそれ以上に熱い思いと力強い仲間の気配が、俺の力を百パーセント以上に引き上げる。遅れは、取らない。
振り返る。
潜伏する仲間たちの数は、パーティー上限である、七人。
皆それぞれの最高の武器を構えて、こちらに向かって頷く。敗色濃厚の為に装備は俺の店の売り物(それでも古代級武具級なのだが)を使うことを申し出たが、誰もそれを良しとはせずにそれぞれの持つ愛用の武具を持って来てくれた。その思いに、応えたい。
敵の大軍団は、前情報が正しければ、七十。
彼我の戦力差は、実に十倍。
その十倍の力が、狭い通路を着実にこちらに進んでくる。
距離、三十メートル。
(……行くぞ……)
心の中で、呟く。
それが、一寸のブレもなく皆に伝わったのを感じる。
合図も無く、地を蹴って突進。
全く同じタイミングで、同時に走り出すツカサ、グリドース。
そして、一拍遅れて、細道に激しく反響する轟音。
「な、なんだあっ!!?」「っ、み、耳がっ!」「くぅ、気をつけろ!」
響いた音が、通路を埋め尽くす妖精の大群の足を止める。
そこに
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