マザーズロザリオ編
episode5 守る者
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キルである《クラッシュ・バインド》はその発動に「相手の体の一部を握りしめる」という動作が必要になる。そしてその性質上、女性相手に使えば一発でハラスメントに抵触する。
だがまあ、そのあたりは、一応は対策済みだ。
対策と言うか、検討と言うかだが、俺は《体術》使いとしてそのあたりはブロッサムさんやレミの手伝いを受けて、「どの技をどの部位に使えばハラスメントコードに抵触するのか」というのはかなり正確に把握している。技をかけられるブロッサムさんが積極的過ぎて若干引いたり、それを監視するレミの視線が痛かったりはしたのだが。
結果として分かったのは、基本的に掴み技や固め技はアウト、更に貫手や拳での打撃も場所によってはコードに触れることが分かった。逆にオッケーな技としては、足技系は殆どが許されている。
今までは、知識としてそれらを持っておけば、もともとたくさんの特技を組み合わせて戦うのを得意としていた俺には然程問題は無かった。一つ二つが使えなくても他の多くの技で十分に補えたし、それが気になるほどい追い詰められることも少なかったからだ。
しかし。
この体がMob化した今、その手数の縛りは重いルールとなって俺を苦しめていた。
◆
(……くっそ、やべえな!)
飛び退った体を狙った刃を、首を大きく傾けて紙一重で回避する。今の俺の体はMobのそれ、当然装備品であるコート、《闇を纏うもの》の視覚詐称エフェクトの効果は得られない。敵の剣は、過たず俺のクリティカルポイントをその軌道に納めている。喰らえば俺の決して多くないHPは一気に削られるだろう。
Mobに体を変えるこの技は、ステータス変動こそないもののプレイヤーに各種特殊効果を与える強力な装備の効果は無くなるし、習得したスキルも場合によって殆どが使えなくなる。今の俺の《グラン・ダークリザード》は貫手や手刀といった《体術》スキルこそ使えるが、足の骨格の関係上蹴り技系のスキルは使えない。
即ち。
(……奇襲以外では、女は仕留めにくいんだよな……)
大きな威力を与える技が、殆ど使えないのだ。
俺の最大威力の蹴り技、《ネプチューン・ストーム》四連撃なら魔法職くらいは一撃で爆散させられる自信があるが、手数重視の手刀などでは流石に一連のコンボでHPを削りきりはしないだろう。一旦距離を取られてしまえば、すぐに自身の回復呪文でふりだしに戻るだ。
どうするか。ちなみに。
(……んー、また逃げるかね……)
この段階で既に、俺は目的の大部分は達成していたので、逃走をその視野に入れていた。
俺の目的。その一番は、「この層のボスを攻略させない」ことだ。その為には、レイド部隊が来たときにその回復担当を殲滅して死んだプレイ
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