マザーズロザリオ編
episode4 四神守の一角
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こんな結末は、俺が望んでいたものでは無かった。
ユウキが泣きながらその姿を眩ませた現場を、俺は見ていたわけではない。全てが終わってしまったあと、シウネーさんからのメッセージで知らされただけだ。最後に「ユウキのさいごを笑顔にしてあげられなくて、申し訳ありません」の言葉を添えて。
(いや……まだ。まだ、終わっていない。……俺が、終わらせない)
唇を噛み締める。
俺が、こんなものを最後の結末にはさせない。俺だけではないだろう。アスナだってこんな結末を認めるつもりはないだろうし、アスナが足掻くのならキリトがそれを指をくわえてただ見ているだけでいるはずがない。シウネーさんだって、本当はこんな結末は望んでいないだろう。
諦めるには、まだ早すぎる。
それに加えて。
(まだ、手掛かりはある……!)
気は進まないし、がっつりと法律違反だが、まだユウキを追う手段はある。なにより『彼女』なら、仲間の為となれば国も法律も知るかと笑い飛ばして、迷わずその道を駆け抜けたはずだ。だったらその相方として、俺がびびっているわけにはいかない。
最後の手掛かり。
きっかけは俺の勘だが、あの人の手を借りられれば。
(諦めるもんかよ……!)
俺はもう二度と、絶対に、『彼女』に無様な姿は見せないと誓ったのだから。
こんなところで、諦めてなどいられないのだ。
◆
決意を胸にログアウトして、ゆっくりと体を起こす。
ユウキがVRワールドにダイブしてこない以上、手掛かりはこちらの世界で探すしかない。
(……っ、っと……っ)
ゆっくりと起こす体が、少しだけ軋む。
当然だ。ここ数日の俺のログイン時間は、相当なものになっている。長時間同じ姿勢でいることによって、少々体が強張るのも無理は無い。舌打ちして、無理やり体を動かそうかと考える……が、冷静になってゆっくりと指先から徐々に体をほぐし、時間をかけて起き上る。
今は急ぐ時だが、それと焦ることは似ているようで天と地ほども違う。
「正解です。焦りは己の実力を半減させます」
「っ!?」
数分間ほど体を伸ばしていた俺に唐突にかけられた声は、勿論牡丹さんだ。
そうそう、何故か牡丹さんは、最近は四神守の家からでは無くこの俺の狭い部屋でログインするようになっていたのだ。どうやら彼女はログアウトした後、台所のほうで軽食でも作ってくれていたらしい。ということは、俺が芋虫みたいに四苦八苦しているところを見られたのか。
……っていうか。
「……牡丹さん、なんで俺がログアウトしたと分かったんです?」
「企業秘密です。が、『神月』として、主人の行動を把握するのは当然の義務です」
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