マザーズロザリオ編
episode4 四神守の一角
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で絞り込める。
「……そんなの腐るほどいるわよ。調べる意味無いわ」
「……更に絞り込むなら、なるべく使用期間が長い人間ですね。少なくとも一年以上はアミュスフィアを使い続けている者で、それ以上に長い入院歴がある者、ってところですか」
大きく溜め息をつく伯母が、一旦顔をその手で覆う。
(……っ……)
ずらされた白い指の隙間から、鋭い眼光が覗く。それはいつもこの人が見せる「面倒だな」の目つきとは一味異なる、純粋な威圧感を放つ視線。祖父と共通するその迫力は、彼女が紛れもない『四神守』の一人だと思い知らされる。
放たれる言葉は、虚偽や誤魔化しを許さない、威厳のある問い。
「……アタシはね、アンタら『マスゴミ』って大嫌いなの。批判するだけの脳無しで何も生み出さない、責任も負わない、壊すことしか知らないバカ共だって思ってる」
射殺すような視線。長い黒髪がばさりと広がり、まるでゲームの世界のメデューサの蛇のように俺へと襲いかかってくるみたいに錯覚する。紅々と光る唇が、無機質に声を紡ぎ出す。
「……アンタのそれは、そんな馬鹿げたコトの為じゃないわよね? もしそうなら、アタシは今この場所でアンタをぶっ殺してやるわ。……『家族だから』なーんて甘えて、このアタシに恥知らずにもそんなコト頼むようなクソガキなんて、生きてたってしょうがないしね」
その声は、まるで本気でそう思っているかのように錯覚させる。
「……違います。純粋な、私用です」
「……私用、ね。……アンタさァ、この国には医師の守秘義務ってあるの知ってる?」
「言葉だけは。蒼夜さん知ってます? この国には薬事法ってのがあるそうですよ?」
切り返された常識での拒否を、こちらも同じ常識で切り返す。
それは、俺がSAO生還後に誰より早くこの世界に復帰できた、秘密の理由だ。
彼女は、母さんが実家に助けを求めた段階ですぐさま俺を自分の病院に引き取り、即座に治療を開始した。その『治療』が少々問題で、もともと細かった俺の体を維持するために多くの薬品を投与した上に、……彼女の趣味か知らんが……俺の体には、このころにはまだ治験段階の薬品が、いろいろと入れられていたらしい。
そのおかげで俺の体は他のSAO生還者よりはるかに体力を維持出来ていたのだから恨むのは見当違いなのだが、違法は違法だ。訴えれば俺が勝つだろう。卑怯な手だ、とは思うが。
(ま、構わねえさ……)
なりふり構っている場合ではないのだ。間に合わなければ俺は、一生消えない後悔が一つ増えることになる。そうなるくらいなら、卑怯な手くらいいくらでも使う。
「……調べてください。……時間が、無いんです」
「……っちっ……」
真剣な目で、蒼夜さ
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