マザーズロザリオ編
episode4 四神守の一角
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どうにかして、台所からでも俺の部屋は監視されていたらしい。
……成程、これがストーカーか。これはやばいな。俺も現時点でその道に片足突っ込んでいる自覚はあるが、流石にここまでは行かないように気をつけないとな。うん、これは俺と牡丹さんみたく特別な事情が無ければ捕まっても文句は言えない。
……いや、それは置いておいて。
牡丹さんがこの場にいるなら、好都合だ。
「牡丹さん、丁度良かった。今晩、四神守の屋敷にあの人が帰るかどうか聞いて貰えませんか?なるべく迅速に聞きたいことがある、と言伝をお願いしたいんです」
「畏まりました。すぐに連絡して参ります」
どの道あの人は昼間は目が回るほど忙しい(と、本人はいつも愚痴りまくっていた)。ならば今は急いでも会えない。じっくりと体を動かし、何かの際には万全の状態で動けるようにしておくのが、今は最善の手段。
「はぁ……一応ある程度は鍛えてるんだが、な……」
溜め息交じりにやっとの思いで起きあがる。
あと数分も頑張れば、普通に歩けるくらいには回復するだろう。
あとは、なんとかするだけだな。
あの人……『四神守』を支える者の一角との、交渉を。
◆
「で、アンタさァ、自分が何言ってるか分かってンの?」
目の前の、もう四十を超えたとは思えない美貌の女性を見やる。強すぎる眼光に眉間の皺がややマイナスポイントだが、それでも十分以上に美女と言えるこの人は、『四神守蒼夜』。母さんである朱春の姉にして、俺からすれば伯母にあたる女性。
ついでに言えば、その性格は。
「……まァったく……アンタ、この美しいお姉サマの睡眠時間を何だと思ってるワケ? 『神月』使ってアタシの病院に真夜中に訪ねてくるなんてナめた真似して。睡眠不足のせいでシワが残ったら、ぶっ殺すわよ?」
……傍若無人にして唯我独尊、女王様を絵にかいたようなものだ。
鋭い視線はそれだけで相手を怯ませるだけの威圧感があるが、仮にも医者がぶっ殺すってどうよ。夜の様に蒼味を帯びた黒髪が白魚のような細い指に掻きあげるその動作は、色気と同時に如実な苛立ちを表しているように思えた。
話を長引かせれば、交渉には不利か。
「……蒼夜さん。単刀直入に言います。日本全国の病院のうち、アミュスフィアを使用可能な病院とその使用を許可されている患者の一覧が欲しいんです。蒼夜さんなら医者の立場を使って病院に問い合わせても出来るでしょう?」
俺の、勘。ユウキから感じる、希薄な空気と静謐な気配。アレが『彼女』と同じものに由来するのなら、ユウキもまた病院にいるという可能性が高い。アミュスフィアはどの病院でも、そしてどんな患者でも使えるというわけではないから、それ
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