マザーズロザリオ編
episode2 はじめてのしゅらば
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て男ですし、良いじゃないッスか。オイラは気にしないッスよ……」
唯一の男であるファーが一定の理解を示してくれる。そうだ、もっと言ってやってくれ。でも、それも誤解だからな? そしてお前はなぜ一切こっちを見ようとはしない? なにかやましいことでもあるのか? ないならこっちを向け。
そして。
『ふむ。安心しました。チビソラ様やレミ様、モモカ様などの魅力的な女性に囲まれてなお何の興味も示そうとなさらない為に、もしかしたら危険な性的趣向があるのかと心配していましたが、杞憂だったようですね。健全な男性らしい振る舞いです』
「……そっち系……アッー……」
「やめてくださいブロッサムさん!? レミ、頼むから悪乗りするなあああっ!!!」
ブロッサムさんのトドメの一撃とレミの追撃に、とうとう俺の声が湿り気を帯びた。
後にファーが言うには「シドさんがからかわれてあんな悲痛な声をあげたなんて、後にも先にもあの時だけッス」と語り、レミは「……ちょーたのしかった」と呟いたと聞いた。ちなみにそれを聞いて、ちょっとだけ俺は泣いた。
◆
散々な追求の嵐をなんとか弁明しきって(誤解は微塵も解けた気がしないが)、再びアルヴヘイムへと帰る途中、
「ふふっ。楽しい人たちでしたね。うらやましいです」
疲れきって息も絶え絶えに飛ぶ俺に、シウネーさんは笑いかけた。既に俺の精神力はゼロ、そのままアインクラッドまで辿り着けずに墜落してもおかしくないレベルの消耗度だが、おかげさまで代金云々はうやむやになっていた。どう考えても高すぎる代償だとは思うが。
「……ま、シウネーさん達の仲間と同じくらいには、ですかね」
「そうですか。……では、最高の仲間達なのですね」
頷くのもなんかシャクなので無言の返答だけを返すが、それはきちんと肯定だと分かったらしい。ちらりと見やると、その顔は穏やかな静けさを湛えた目元が細まり、まるで子供を見守る様な優しさを宿していた。その視線は、なにやら俺の心の奥底まで見通していそうだ。
沈黙に若干きまりが悪くなって、無愛想に口を開く。
「……真面目な話して、いいですか?」
「ええ、もちろんです」
「……代金……いや、対価として、約束してください。「絶対にフロアボスを倒して、『剣士の碑』に七人の名前を刻む」……いいえ、それだけじゃない、『思い遺すことなんて何一つないくらいに、このALOを楽しみ抜くこと』を。約束だから、絶対に守ってくださいよ?」
「っ!?」
強調された、「思い遺す」に、シウネーさんの目が見開かれる。きっと俺が……いや、誰も気付いていないと思っていたのだろう。それを問い返そうとした口を、掌を突き出して静
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