マザーズロザリオ編
episode2 はじめてのしゅらば
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…シウネーさん達は、特に、な。……それと同じように、こっちにも特別な事情があるんだよ。絶対に譲れない、『特別な事情』が、ね。……だから、」
柄にもなくいいことを語ろうとした、その時。
「たっだいまーっ! シドくんっ、今日は帰ってきてるんだねーっ!」
いい衝撃音を立てて空いたドアから、聞きなれた明るい声が聞こえた。
◆
「シドくんっ、へっ!?」
パタパタと羽ばたいた水色の小さな妖精、チビソラが、倉庫の中の様子を見て一瞬目を見開き、
「し、シドくんがっ、家に女の人を連れ込んでいるーっっっ!!?」
「お、ちょ、ちがうっっ!!! 待てっ、皆に知らせに行くな、おいっ!?」
必死に捕まえようとする俺の手を巧みに掻い潜って、ホーム中に響き渡る声を上げた。ポカンとしたシウネーさんを置いて必死に追いかけるが、もう既にその声は皆の耳にしっかりと入っていた。ロビーにでた俺を迎えたのは、
「い、いや、それは誤解で、その、」
なまあたたかーい皆の視線だった。
嫌なことに、ALO組全員集合だ。
誰からも沈黙を破れない、絶妙に微妙な緊迫感。その静寂を破ったのは。
「シドさんの、パーティーの皆さんですか? はじめまして、シウネーと言います」
およそ予想される、最悪のパターンの人物だった。
這うようにロビーに転がり出た俺の後ろに立ったシウネーさんが、いかにも癒しの妖精然とした微笑みを湛えて穏やかに一礼、顔を上げて皆を見回す。一斉に彼女に集まる視線。その意味が良く分かっていないのか、笑顔のまま困ったように首を傾けるシウネーさん。
「とっ、年上だっ! 美人だっ! 癒し系だーっ!!!」
チビソラ、お前はちょっと黙れ。
「し、シドさん、お、女の人を連れ込むっ、て、そ、そのっ、あの、」
モモカまでいるじゃねえか、お子様はちょっと早めに落ちたほうがいいんじゃないかな、こんな場面は流石にお子様にはちょっと刺激が強いだろう。てか、なんで明らかに一定の理解を示してんだこの子。芸能界のモラルはどうなってんだコラ。
「……こういったれでぃーが、好み……」
「レミ、悪乗りすんなぁっ! てか、悪乗りだよな、素じゃないよなっ!?」
「ちっさい子じゃダメなんだーっ! 私はストライクゾーン外だーっ!」
「チビソラ、てめーはちっさい以前の問題だろうが、ミニマム妖精!」
本気か嘘かジト目を向けるレミ。いや、ウソだよな? ウソだといってくれなんか不安になるだろうその視線は。そしてそのレミの頭上に陣取ったチビソラ、せめてそのセリフは人間形態の状態で言え、手乗りサイズは流石に論外だ。そして今はちょっと黙れ。
「い、いや、シドさんだっ
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