マザーズロザリオ編
episode1 彼女との決闘
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周囲から歓声が上がり、シウネーのものと思われる短い悲鳴も聞こえる。
初撃は、奪った。先ほどまでの力自慢たちよりも上だということは、これでユウキにも伝わったろう。驚いて見開かれた……しかし爛々と戦意、そして好奇心を光らせた瞳でこちらを見つめる彼女も、これで本気になるだろう。
裏を返せば。
(さっきまでは、本気じゃなかったな、なろ……)
決闘中の動きでは、避けられない一撃なはずだった。しかし彼女は一瞬の反応で咄嗟に身を捻らせて、致命的な衝撃……クリティカルポイントである首への攻撃を回避して見せた。以前に話したとき、(俺がそうしていたように)アバターの挙動からある程度の俺の強さを予測していたのかもしれないが、それでも回避は容易ではなかったはず。
それを、あっさりと可能にしてみせた。
「……凄いね。もうちょっと体大きかったら仰け反らせられたんじゃない?」
「……ま、終わったことを言ってもしょうがねえさ。このままいくぜ?」
じりじりと間合いを測りながら、彼女が微笑む。俺もそれに合わせて、にやりと笑う。
頬から汗が滴りそうなほどの焦りを堪えて、だ。
(この迫力……地上戦で助かったぜ。空戦じゃ歯が立たねえな……)
彼女らの目的はアインクラッドでのフロアボス攻略。迷宮区内は飛行出来ない為、このデュエルでは戦闘前に地上戦か空中戦かを選ぶようにしてあった。それは目的のためだけでなく、ユウキのあまり長くないだろうALO歴を考慮してのものだったが、先程までのデュエルでの少なくない空戦の腕前を見るにどうやら救われたのは俺の方らしい。
と。
「やああっ!!!」
「―――ッ!?」
鋭く動いたユウキの持った黒剣が、俺の体……の、僅かに左ぎりぎりのところを掠めて通過した。間合いが、思ったより広い。それも先の突進はエフェクトフラッシュが無い、つまりはソードスキルでは無い通常攻撃だ。つまりは。
「くっ!!!」
俺が慌てて跳び退るよりも一瞬早く、伸ばされた黒剣が鋭く薙ぎ払われた。一応ある程度は跳んで威力を緩和出来たようで、HP減少は一割程度で済んでいる……が、反応が僅かでも遅れればごっそりゲージを持っていかれていただろう。これもまた、通常攻撃。
(距離をあけると、不利か!?)
咄嗟に判断して跳び退った分の距離を取り返すために反転。
構えたユウキに対して一気に距離を詰めて、接近戦に持ち込む。
俺の戦闘スタイルは、あの頃からずっと変わらない、徒手空拳。一切の武器を持たずに己の体だけで戦う《体術》は、その性質上長い直剣や槍と比べては間合いが極端に狭まる。ユウキの使う剣は直剣というよりは細剣に近くて決
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