マザーズロザリオ編
episode1 辻試合の舞台作り
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じい衝撃を発して空気を振わせた。ユウキの放ったオリジナルソードスキル、《マザーズ・ロザリオ》。美しい十字を描いて繰り出された連続突きは、大木を次々と穿ってその上の枝葉を大きく揺らしていた。
まさに、圧倒的。
「うおお……すげえ……!」
「な、何連撃だった、今の……!?」
「十一連撃ですよ。あれが、彼女の操るOSSです」
その圧倒的な力に、集まった群衆の中から溜め息の様なざわめきが漏れる。その声に応えたのは、横に控えた、シウネー。そう言えば確か、「初日くらいはユウキについていく」と言っていたな。シウネーの言葉に振り返ったユウキが、大きな笑みとともに幼い声を張り上げる。
「決闘の賞品は、このOSSの秘伝書だよ! さあ、勝負!」
元気のよいユウキの声は、集まった腕自慢共の声に呑みこまれる。「俺だ!」「いや俺が先に、」「バカ言うな、俺が、」「ふざけんな、OSSは俺のもんだ!」等々、様々な怒号が響きだす。その予想外の超反応にシウネーとユウキがビクリと首を竦めるのを見て、俺はやれやれと首を振った。
OSSの秘伝書は、一つの技に対して一つしか作ることが出来ない。つまりはもし最初の挑戦者がユウキを負かしてしまえば、恐らく現在最高の連撃数……確か今までの最高数であるユージーンの《ヴォルカニック・ブレイサー》の八連撃だから、それを三回も上回る手数をもつOSS、《マザーズ・ロザリオ》はそのプレイヤーのものとなり、後の者には挑戦権が無くなってしまう。
要するに奴らは、「ユウキが早々と負けてしまう」ことを心配している訳だ。
……まったく、取り越し苦労なことに。
「とりあえず五十音順にしたらどうだ? 早々と負けたら、また新しいOSSを作って貰え」
ぼそりと、しかし怒号の中でも響く絶妙な声量で言った。こういった人心操作や群集心理の操作は、割と得意だ。誰が言ったかを悟らせず、全体に影響を与える。この辺は、実家の叔父叔母達と絡むせいかもしれない。というか、あの人達のそれは駆け引きを超えてもう催眠術の域だ。
「よし、それでいいだろう!」「恨みっこなしだぜ!?」「俺、俺「サ」だぞ!」
それに連中が同意して順番を確認しだす中、ちらりと二人をみやった。ユウキの顔に「ゴメン、ありがと!」の色を、シウネーの顔には「すみません、お手数掛けて」の色が見えた。どうやらそろそろシウネーさんも俺を許してくれる気になったらしい。やれやれだ。
「んじゃあ、最初は俺だ! 勝負!」
三人の目線だけの会話は、威勢のいい声に遮られた。
最初の相手は、なかなかの業物らしい斧を構えた、金属鎧の大柄な火妖精。頷き、細身の片手剣を構える、ユウキ。緊張の中
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