第二部 文化祭
第14話 パパとママ
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放課後。アルヴヘイム、キリトの家。
「……高校生が一軒家を買うってのは、なかなか大変だったぞ」
「仕方ないでしょ、ユイちゃんの為なんだから!」
アスナはユイを抱きながら、キリトを見て言う。
「そりゃそうなんだけどさ……」
「大体、依頼の報酬としてお金貰ってるじゃない」
「まあ、1回1000円くらいはな!」
依頼を受け、任務を完了すると、報酬を貰える──学園側がほとんど持っていってしまうのだが。
「キリト君、しょっちゅう1人で行ってるじゃない。わたしよりお小遣い多いんじゃないの?」
「……ユイの前で、そんな話はやめようぜ」
「君が先に言い出したんでしょ」
アスナがはあーっと溜め息を吐いた、その時。
「……あうな」
「ど、どうしたの、ユイちゃん?」
アスナは慌て、ぎこちない笑みを浮かべる。
「……きいと」
「どうした?」
キリトは微笑んだ。
「あうな……ママ。きいと……パパ。あうな……」
ユイは繰り返し言うと、パッと顔を上げた。美しい花が盛大に咲いたような、満面の笑みをたたえている。
「きいとはパパ、あうなはママ!」
アスナとキリトは、暫く硬直した。
「キリト君、なに教えてるのよ!?」
「アスナ、なに言わせてるんだ!?」
ふたりがその言葉を口にしたのは、ほぼ同時だった。
「……キリト君が教えたんじゃないの?」
「……アスナが言わせたんじゃないの?」
「なわけないでしょバカ!」
「バッ、バカ!?」
「えへへ、パパ、ママ、なかよしー」
ユイが嬉しそうに言う。アスナの心も穏やかになった。
「……そうだよユイちゃん、ママだよ」
アスナの横で、キリトは苦笑いしているが、嫌というわけでもなさそうだ。
「……ママ!」
ユイが嬉しそうに笑っている。
──この子もいつかは、本当のパパとママのもとに帰る。
──いつかは、わたしたちのもとを離れてしまう。
出会ったばかりなはずの少女は、早くもアスナの心の深いところに入り込んできた。
キリト──和人と一緒にいる時の、切なく、苦しくなるような感情とはまた違い……。
ユイと一緒にいると、とても癒されて、ずっと離れたくないと思える。
和人と二人きりでいることは楽しいけれど、好きだけれど。その中に彼女がいることは、自然と嫌ではなかった。
そう、まるで本当に、自分と和人の──。
「……ってなに考えてるのよ、わたし!」
「……いきなり叫ぶなよ、アスナ。ユイがびっくりするだろ」
キリトが呆れたような声で言う。
「ご、ごめんなさい……」
「別にいいけどさ……で、アスナ」
「なに?」
「なに考えてたんだ?」
キ
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