第三十九話 次なる課題
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かげで向こうの状況が段々分かってきました」
俺が労うとラインハルトはホッとした様な表情を浮かべ“恐れ入ります”と答えた。他の三人もホッとしている。失礼だな、俺はそんな怖い上司じゃないぞ。話題を変えるか。
「イゼルローンでは今回の改革はどう受け取られていますか?」
俺が話しを振ると四人は明るい顔色になった。
「将兵からは好意的に受け取られています。何と言っても税が軽減されたのが大きい。それと領民達の控訴権も認められました」
「カストロプ公を始め不正を行っていた貴族達が処罰された事も将兵達は喜んでいます。最前線の兵士達は安全な場所で悪事に耽る様な者達を極度に嫌いますから」
ケンプ、レンネンカンプの答えも口調が弾んでいる。うん、良いね、最前線の兵士から評価されるというのは大事だ。何と言っても彼らは命をかけて国を守っているんだからな。彼らが高評価をしているという事は士気も上がるし今後の防衛戦でも十分に期待できると言う事だ。問題は要塞司令部、駐留艦隊司令部の不和だけだな。
「ですが税金を使って貴族を救済しようとしている事については多少不満が有るようです」
「……」
「政府からは救済しなければ帝国経済に混乱が生じると説明が有りましたから已むを得ないとは思っているようですが……」
やっぱりそうか、そうだよな、不満は有るよな。救済を求めてきた貴族は五百家を超え、救済金額は総額で二千億帝国マルクに上った。当初の予測の二倍以上だ。皆呆れ果て激怒していた。ゲルラッハ子爵なんか領地経営も出来ない馬鹿は全員銃殺刑にしてやりたいと言ったくらいだ。
俺も同感だ。カストロプ、ノイケルン、カルテナー等潰した家が有ったからそれの接収財産で賄ったがそうでもなければとんでもない騒ぎになっただろう。ノイケルン、カルテナー、両家ともカストロプ程じゃないがたんまり貯め込んでいた。接収財産は合わせて一千五百億帝国マルクを超えた。フェザーンからインサイダー情報を貰って株で儲けていたらしい。見返りが何だったのか、気になるところだ。
「確かにファーレンハイト提督の言う通り多少の不満は有るようです。しかしその分は政府に返済させますから政府に対する不満と言うよりは貴族に対する不満でしょう。我々と違って税を払っていないのに借金を作るとはどういう事だと」
「なるほど」
ラインハルトの言葉はまあ半分は俺に対する気遣いかな。だが無条件に救済しているんじゃないと言う事を理解してくれるのであれば十分だ。大事なのは政府が信頼できると思わせる事だからな。
「なにより貴族は監督官を受け入れなければなりません。あれは破産管財人の様なものだと将兵の間ではもっぱらです。自尊心の塊のような貴族にとっては屈辱でしょう、いい気味だと笑っています」
レンネンカンプの言葉に皆が失笑した。貴
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