一章 希望と絶望のセレモニーE
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しいとのことだ」
生徒たちはこの主旨がよく分からず会場内にどよめきが広がる。
「要はこの学園内で最も優秀な部活動を決めてくれということだ。詳しい説明はこれからする」
その空気を感じ取ってか副学園長も短く簡潔にまとめ話を続ける。
「諸君も知っての通り我が学園は政治や経済、はたまた軍事に至るまでありとあらゆる分野で活躍できるエリートを輩出し続けてきた。今までも当然君達のデータは国に渡し続けてきた」
これはあまり世間では触れられてはいないが学園内では全ての生徒が知っている暗黙の事実。
政府が管理している学校なだけあって生徒の成績や体調などのデータは情報管理されており、その情報は最終的に政府のとある機関に渡され保管されている。
しかもそのデータの内容次第では将来の地位や安寧は保証されているといっても過言ではないくらいの影響力を持っているのだ。
「これまではそのデータの内容は基本的に勉学や日頃の生活態度、運動神経テストといった学生としてはごくごく当たり前のものだった。しかしこれからはこの中に新しく部活動による評価も加味されることとなった」
「おぉ!」と一瞬館内に喜びに似た歓声が起こる。
それも無理はない、今までは頭のいい一部の生徒だけが卒業後に美味しいところを持って行って、それ以外の生徒は羨ましくそれを見ているだけだった。しかし今回の件がもし施行されるのならば、学力の関係ない部分で一流企業に就職出来る可能性も、軍隊の指揮官にもなれる可能性も考えられ各々の胸に様々な期待が巡る。
しかし一つ気になることがある。
「その評価対象の部活だが、普通なら獲得した賞の多い部活や大きな功績を収めた部活が対象になるだろう。・・・しかしながらその決定権を持つ学園長はそれを良しとしていないのだ」
そうそれは判断基準。いったいどのような基準で決められるのだろうか。
再び館内に静寂が戻り、副学園長の次の言葉にその空間にいる者たちの注目が集まる
「『運動部ならその中でも最も優秀な部を、闘技部ならその中でも最も最強な部を、文化部ならその中でも最も賢明な部を』これが学園長のお考えだ。だから今回種目やルールを超えて君達同士で競い合ってもらおうということで意見がまとまった」
中央巨大モニターに映し出される法院久ノ助副学園長の顔は開始時から一切表情を変えることはない。
ただひたすら一点の空間に目を据え、淡々と話し続けている。
なにやら面倒なことが起きようとしている、その光景をみて京介は直感的にそう察した。
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