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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第三二幕 「空気の読める国から」
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が一この情報が洩れれば純国産機である打鉄のプロテクトの安全性が疑われるどころか、学園の管理能力に対する難癖がつけられて委員会の息がかかった面々に付け込まれる口実になったり原因解明と称してジョウが連れ去られる可能性さえあったのだ。
ISログの全洗い出し、ジョウの体に異常がないかのスキャン、訓練機の当時の管理状況に異常がなかったか、形態移行した打鉄のフレーム及びコアの今後の運用やマスコミへの説明の有無の決定、果てはこの件をIS委員会に報告するための報告書作成までを必死に取り組み、メンバーが作業を終えた時には既に日が暮れるどころか登り始めているという惨状だった。しかもその日が平日だったため、メンバー全員が完徹状態で通常勤務を余儀なくされたのだから千冬としては本当に笑えなかった。
「ならいい、分かっているならいいんだ・・・」
「どっちにしろ俺はもう“こいつ”じゃないと体を預ける気になりませんしね」
そう言って笑いながら掲げて見せた掌には、待機形態にしてある打鉄が握られていた。ペンの形をしたそれはまるでブランド品のように美しい銀色の光を放っている。そう、これが例の事件の後に様々な解析や調整を終えてジョウの元に戻ってきた、件の打鉄である。
ワンオフ・アビリティーこそ発現しなかったがその性能はもはや最新の軍用ISと同レベルであり、やむを得なくリミッターをつけて出力を”5割”落としてある。
「そのIS・・・名前は決めたのか?」
「まだですね・・・何でも打鉄の開発元スタッフが名付け親になってくれるそうなんですが揉めてるみたいで・・・取り敢えず仮名で“
夏黄櫨
(
なつはぜ
)
”って呼んでます」
「・・・それは恐らく世界最高クラスのISだろうな。無いとは思うが力に振り回されるなよ?」
千冬はジョウの事を信頼している。それは武芸者として、弟の先輩として、そして何より一人の人間としてである。特に武芸者としてのジョウは世界最強と呼ばれた千冬でさえ押さえきれる自信がないほどだ。
だからこそ、心配にもなる。何かのきっかけ――例えば、
弟
(
ユウ
)
――を切っ掛けにいつか暴走するのではないか、と。
だが、その心配に対してジョウはあっけらかんと答える。
「なぁに、その時はユウの奴が止めてくれますよ」
「・・・結章が、か?」
「ええ、あいつはいつか必ず俺に追いつきます。“たったそれだけ”の困難を乗り越えられない訳がない」
超人的な技量を誇るジョウをユウが止められるビジョンを見いだせない千冬だったが、彼のそれは確信のある目だった。ユウの事を絶対的に信頼し、自分と並ぶ存在になると信じているその目を見て、千冬はふと自分がジョウを信頼している理由を垣間見た。その信頼は―――自分が一夏に向ける期待と同じものなのかもしれない。
「・・・さて、そろそろ授業の準備
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