暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
常盤台中学襲撃事件
Trick40_正真正銘の傑作だ
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速く走っても、まだ足りない。全然足りない。

そしてまた、走りに満足ができないまま止まることになった。

赤信号によって。自分に越えられない壁を感じる時間がきた。

「つーちゃん! 他に道はないの!? さっきから信号ばかり!」

『10メートル以上のジャンプが確実にできるようになってから言え。
 たかが道路さえも飛び越えられないくせに何をほざく。

 愚民(おまえ)は高貴なる私の言うことを聞いていればいいのだ』

「っ!」

先程から信号のたびに何度も繰り返される問答。

位置外の指示を無視した結果に遅れたのだから、言い返すこともできずに
会話が終わる。そして悔しさを噛みしめていた。

自分が悪いと解っていても、この道以外が無いと何度言われようと、
早く、速く信乃の元に到着したかった。

何度も言うようだが佐天はA・T(エア・トレック)初心者だ。

始めて2週間で、横幅10メートルはある道路をジャンプで超える実力はない。

大きい道に差し掛かるときは必ず横断歩道、歩道橋を利用するしかないのだ。

「なんで! なんで私は!」

『・・・・・反省は愚民にとって必要なことだ。

 だが、目の前の事を疎かにすることは愚民よりも愚かだ。

 だから今は走ることだけに集中しろ、平民(さてん)

「つーちゃん・・・・」

さすがに怒っていた位置外も、今の佐天の態度に感じることがあったようだ。

先程のミスから位置外は辛辣な言葉しか言わなかった。
それが初めて慰める言葉が出てきた。

「ありがとう・・・・でも」

『信号が青に変わるぞ。5秒前、 3 2 1 GO』

言葉を遮ったのは速く到着するための指示だったが、これ以上考え込ませないことも
理由にあった。

それでも、佐天は自分を責めるのをやめなかった。

(なんで、どうして私はあんなことを・・・)

口には出さなくて責め続けていた。

心だけじゃなく、自分の体も。

不安と恐怖、無理な運動による呼吸の乱れ。
長時間A・Tで走り続けたことによる体中の疲労、苦痛。

体の悲鳴も無視して走り続ける。

無理をすれば必ず異常が発生する。

そんな体に佐天は鞭を打つ。

何度も何度も、疲労している体に奥の奥まで空気を導き入れるように呼吸する。

それは息をする必要がない、自分自身が空気になる感覚で、必死に。必死に。

「カハッ!?」

混乱している頭。無意識化でなぜか、吸うタイミングで息を吐いてしまった。

瞬間、膝、股関節、背骨、体の全ての関節に想像を絶する激痛が走った。

「ッ!!?」

佐天は訳がわからなかった。
息を詰まらせただけで関節に激痛が襲う現象など聞い
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