第四十九話 スペンサーの剣その十四
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「後は」
「ガスもあればな」
「毒もありますね」
「元々竜は毒を出すものだったのだろう」
工藤は竜のブレスに対する己の考察も述べた。
「それが色々な設定がついてだ」
「そしてですか」
「炎なり吹雪になった」
「それで最初は毒だったんですね」
「おそらくな。実際に毒を吐く蛇もいる」
ツバハキコブラという種類だ。それで自分に襲い掛かる猛獣の目を狙う、若し毒が目に入ればそこから激痛が走り失明の危険すらある。
「それと同じか」
「じゃあ大尉も」
「さて、どうする」
工藤は真剣な顔で息を吸い込む竜とそれと対峙するスペンサーを見た。
「ここは」
「毒は受けないと問題はないですが」
「その通りだ」
「かわされるんでしょうか」
「できればいいがな」
広い範囲に吹くであろうそれをだというのだ。
「無事な」
「ゲームだと竜の吐くものってパーティー全体にかかるんですよね」
「ブレス自体がな」
「だから危険だな」
「はい、ですから簡単にはかわせませんね」
「そういうことだ。果たしてここはどうされるか」
工藤はスペンサーの側に立って述べた。
「それ次第だ」
「そうですね、本当に」
高橋も頷く。そうして。
竜が毒の息を吐き出した。紫の猛毒が口から広範囲に渡って放たれスペンサーを溶かそうとする、だがここで。
その毒が急に落ちた。拡散せずにアスファルトに落ちそこを空しく溶かした。
アスファルトは紫の煙になりしゅうしゅうと音を立てる、だがそれだけだった。
高橋はそれを見て工藤に問うた。
「一体何が」
「わからない。だが」
「はい、それでもですね」
「大尉は今剣を軽く振った」
右から左にすっと一閃した、それだけだった。
すると毒の息は拡散せずに落ちてしまった。スペンサーを襲うことなくだ。
高橋は急になったそれを見て工藤に言うのだった。
「魔術みたいですね」
「そうだな。しかしだ」
「俺達は魔術は使わないですから」
それはない。加藤にしても『魔』は使うが魔術は使わないのだ。剣士に使う術に魔術は存在しないのだ。
だから彼もこう言うのだった。
「何なんでしょうか」
「わからない。しかし」
「それでもですね」
「大尉は確かに術を使った」
このことは間違いなかった。
「問題はどうした術かだが」
「ですね。一体」
「やはり見るべきだ」
スペンサーの闘いをだというのだ。
「そこに答えがあるからな」
「そうですね。今はそれが一番いいですね」
「大尉が俺達の敵になるかどうかはわからない」
「それでもですね」
「見てからだ」
まずはそこからだというのだ。
「剣士としての大尉を知ってだ」
「そういうことですね」
「やはり相手を知ってからだ」
とにか
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