士官学校の天才
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
議に思った。
ワイドボーン相手に真正面からぶつかるなど、通常のアレスであったら行わないことだから。
フェーガンも不思議に思っていたようだったが、すぐに何かしらの理由があるのだろうという結論に落ち着いた。アレスは基本的に無駄なことを嫌う。むしろ、無駄なことをするくらいならばしない方がいいと思っているタイプだ。
おそらくはそれを知っているのは、スーンとフェーガンの二人だけであろうけれど。
不本意そうに筺体から先に出るアレス――しかし、対するワイドボーンは結果を凝視したままにいまだに固まっている。
誰も二人に近寄ろうとしない。
かたや敗者に対するかける言葉がなく、かたや勝者にも殲滅戦となった今回の戦いのあまりの苛烈さに声をかけられないからだ。
審判役のアレスと同じチームの三人ですら、誰も勝利を告げられないでいる。
ただただ言葉にできるのは、機械的に定められた言葉。
『……星系の戦闘結果。青軍、アレス・マクワイルド候補生。赤軍、マルコム・ワイドボーン候補生。損耗率、青軍58.7%、赤軍94.3%。よって、青軍の勝利です』
無情にも機械音が、勝敗を告げている。
誰も彼らに近寄れない。
だから、スーンがまずしたことは賭け金を持ち逃げされないように、フェーガンとともに胴元を捕まえることだった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ