暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
士官学校の天才
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
けを見ていると、彼についてはその分野の才能は皆無だ。むしろ、驚くかもしれないが人を引き付ける分野の才能があり、軍人というよりは政治家に転向した方が良いかもしれない。

 前回のシュミレート訓練も、同じように随分と大きく話して結局風呂敷を畳めず、こちらが防御戦を展開しただけで終わった。
 そもそも攻撃側なのに、こちらを簡単に引きずりだせると考えている時点で終わっているのだが、戦いが終わるまで誰もフォークの負けを予想できなかったというから驚きだ。
 この戦いではスーンとフェーガンは随分と稼いだらしい。

「ま。自信がなくても構わない。最初に厳しいと話したのは、それくらいの気持ちでいてほしいからだ。君たちは私の戦術を、ただ機械のようにこなしてくれればよい。それで戦いは終わっている」
「では、私達はいらないのではないですか?」
「うむ、端的に言えば必要ない。下はただ黙って上の意見に従えばいい」

 当然とばかりに言い放ったワイドボーンに、ただ一人コーネリアが不快気に眉をひそめた。テイスティアは相変わらず顔を青くしているし、ローバイクはいまだに何を考えているかわからないように沈黙をしている。

 しばらくコーネリアとワイドボーンが睨みあい、それは簡単に互いに譲らないようだ。
 援護を求めるように彼女が周囲を見渡せば、そこには石顔面のようなローバイクがいて、テイスティアは視線をそらすように下を向いた。
 視線が合う。
 しばらく迷い――。

「では、上が間違えた時には誰が責任を取るのです」
「間違えるわけがないだろう」
「そう言えるなら、帝都は同盟のものになっているはずですね」
「それは、今までこの私がいなかったからだ。間違えない上がね」
 ワイドボーンは自信を持って、間違いなくそう言った。

 自信に胸を張る彼に対して、アレスは苦笑する。
「そう言い切れるのは、せめてヤン・ウェンリーに負ける前ですね」
 ダンと机がなった。
 叩きつけた拳をそのままに、ワイドボーンはこちらを睨んだ。
その迫力に、今までワイドボーンを睨んでいたコーネリアも何も言えなくなっていた。
今まで彼と彼女が言いあっていたのはあくまでも遊びであり、本当の怒りというものに緊張が大きくなっていた。

「何か言ったか、マクワイルド候補生」
「優秀でも負ける時は負けるといったのです。機械のように従わせて、こちらを犠牲にするというのであれば、勝てる理由を聞くのは不自然でも何でもないでしょう」
「私は負けていない」

「そういって艦とともに破裂した将軍など、星の数ほどいるでしょう」
「貴様っ」
 立ち上がったワイドボーンが動く前に、隣にいたローバイクが制止する。
 彼よりも一回り大きい姿に、ワイドボーンも抵抗を試みるが、やがて舌打ちをした
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ