士官学校の天才
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テイスティアが震えるように小さく悲鳴をあげる。
訝しげなアレスの顔に、ワイドボーンは
「マクワイルド候補生は理解していないのかな」
「教えていただけると幸いですね」
「少しは自分で考えろと、言いたいが仕方がない。シュレイ・ハーメイド、ジョン・ミード、アンドリュー・フォーク、セラン・サミュールと……こんなところか」
ワイドボーンによってあげられた名前に、周囲が顔をしかめていた。
同じようにアレスも顔をしかめている。
もっとも、それは他の人間とは違う理由によるものだったが。
「他にも戦略研究科に名を連ねるものが多数だ。ランダムというのは恐いね。死のグループという奴だ」
そこでワイドボーンが告げた理由がわかった。
優勝するには厳しいという理由なのだろう。
けれど。
ヤン・ウェンリーはAグループだし、ジャン・ロベール・ラップはCグループだ。
アッテンボローは……ラップと同じチーム。
これらのグループに比べれば、遥かに楽だと思うのはアレスが原作を知っているからなのだろうか。
「ま、今更、艦隊運用や陸戦指揮科の雑魚を袋にしても面白くない。弱い者いじめをして喜ぶのが楽しい年でもないしな。そういう意味では面白いグループかもしれないが」
「恐れながら、私は艦隊運用科ですが」
「それは失礼。もちろん全てが馬鹿というわけじゃない、総じて馬鹿が多いというだけさ」
コーネリアが眉をひそめたことに気づきもせずに、ワイドボーンは小さく手を広げた。
「そして、これも失礼ながら皆の成績を見させていただいたが、優秀だな。まあ、一部優秀ではないものもいるが、それが一学年であれば、まだ成績がでそろっていないのだろうから仕方がない。犬にでも噛まれたと思っておいてくれ。回りも同じ状況だ」
黙って俯いたテイスティアを気にもせずに、ワイドボーンは言葉を続ける。
「非常に厳しいと言ったのはそこだ。このチームは各学年のトップクラスと戦うことになるだろう。主席の私はもちろん、皆にも最低限それぞれの学年の主席に勝ってもらわなければならない」
そう考えて、自らの学年主席に目を通した。
考えて、誰もが苦い顔を浮かべた。
テイスティアに至ってはもはや青い顔を隠すこともなく、震えていた。
フォークか。
原作で学年主席が役に立たない事を位置づけた二大巨頭――そのうち一人が味方で、もう一人が敵だ。せめて、フレデリカ・グリーンヒルが次席ではなく、主席では多少意見も変わっただろうに。
「自信ないかね。君はフォーク候補生にも勝利したと聞いていたが」
「あれを戦いと呼ぶのなら、そうでしょう」
相手の壮大な自爆でしたがとは言葉にせずに、心の中で呟いた。
彼もまたワイドボーンと似たような性格だった。ただ戦術だ
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