第三十二話「長ネギは大変体に良いのです!」
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ない」
「――っ!」
悲しそうな目で俺を見上げるアーシア。そのサラサラな金髪を優しく撫でながら慎重に言葉を選ぶ。
「優しいアーシアになんの救いも与えなかったんだ。むしろ死んでいたって聞いて納得したよ。そりゃそうだ、いないんだったら救いを与えることも愛を与えることもできないよな」
一時はなんでこんなに優しいアーシアを救わなかったのか、神を憎んだことがある。
俺の神器が神を殺すことも出来る代物だと知って、一発ぶん殴れると歓喜したこともある。
悪魔の俺は神様なんて信仰しちゃいないし、する気もない。死んだと聞いて残念に思ったのは、俺の手で直接ぶん殴れないことだけだった。
けれど、アーシアは違う。幼少の頃からクリスチャンとして育ち、神を信奉してきた彼女にとって、この一報はあまりにも惨すぎる……。
――支えが必要だ。アーシアには、支えが。
心が死んでしまわないように。神がいなくても生きていけるように。笑って暮らせていけるように。
――アーシアは、俺が支える!
「なら、俺が与えてやる」
「イッセーさん?」
「神様が愛してくれないんなら俺が愛してやる。救ってくれないんなら俺が救ってやる。俺はドジでバカで弱っちい赤龍帝だけど、俺がアーシアの支えになってやる! 見たこともない神様なんかより俺を信じろ!」
なんか勢いで言っちゃった感があるけど、俺の言葉に嘘偽り二言はない! アーシア一人支えられないでなにが家族だってんだ!
「……」
「……アーシア?」
あのー、なにか反応還してくれないと、一人盛り上がってる俺がバカみたいなんですけど……。
恐る恐る下を見てみると、お顔を真っ赤っかにしたアーシアちゃんの姿があった。
「イッセーさん……」
うるうると潤んだ瞳で俺を見上げる。さっきとは違った意味の涙だと思いますですはい。
その時、ぽふんぽふん、と気が抜けるような拍手が聞こえた。
音の発生源は――博士だ。
「いやぁー、なかなか興味深いお答えですねぇ。神が死んだと聞いてどう反応するか楽しみにしていましたが、まさかそう来るとは……。あなた、お名前は?」
「兵藤一誠、だけど」
「ヒョウドー・イッセーくんですか。貴方の名前、しかと覚えましたよと。んー、ファッキンな悪魔の中にも人の心を忘れていない者がいるんですねぇ。これは収穫です」
「……報告?」
「しましょう。これはするに値する情報です。――さてさてではでは悪魔の皆さま方、我々はこの辺で失礼します。よぉい夢を〜」
「を〜……」
徐々
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