第三十二話「長ネギは大変体に良いのです!」
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ン……。
イタチの喉が大きく動き、飲み込んだことを察する。なんて怖いイタチなんだ……。ていうか、あれはイタチなのか?
「でぇは、帰りますかぁ。悪魔の皆さん、よぉい夢を」
「……バイバイ」
ペコッと頭を下げる博士に小さく手を振るイングリット。
彼らは無防備にこちらに背を晒しながら校庭の外へと歩いていった。まるで、俺たちが背後から襲ってくることなど無いとでも確信しているような……。
「あっ、とそうだ。一ついーことを教えてあげましょう」
不意に振り返った博士はピッと人差し指を立てた。
「あなたたちの言うところのせーしょに登場するツルッパゲの駄神ですがぁ……アレ、もう死んでますよ?」
……は?
せーしょに登場する神は、死んでいる?
神って、あの神か……?
「神が、死んでいる、だと……? そんな話があるものかッ!」
「あーるーんーでーすーよぉ。そこの彼の白黒の剣が発現しているのが何よりの証拠ですぅ。反発し合う二つの要素が混じり合うなんて、裏ワザでもしない限り絶対に無理なんですよよよよよ〜」
唇を震わせるゼノヴィアにリンボーダンスをしながら博士が答える。
「神が作り出したシステムに、不備が発生……。その剣は、システムのバグがあるからこそ……生まれ、た」
「鶏はヒヨコを産みまぁす! 鶏が鶏を産むことは決してありえますぇんっ! アヒャヒャヒャヒャ!」
確かに、神が死んでいるのなら木場の聖魔剣も説明がつく。
本来混じり合うことが無い要素が混じり合ったということは、神が作り出したシステムにバグがあるから。
そして、神がいれば、バグなんて存在するはずがない――。
「うそです……うそです……。では、神の愛は、いったいどこに、あると……」
「そんな……。では、私たちはいったい、なんのために……」
呆然自失の状態で力なく首を振るアーシアに、膝をつくゼノヴィア。クリスチャンの二人からしてみれば、寄り縋るものを無くしたんだ。その心境は推してはかれない。
「――アーシア」
「いっせぇさん……」
碧眼を涙でにじませながらこちらを見上げてくる。その姿を見た俺は、胸が張り裂けそうな激情に駆られた。
気が付けば衝動的にアーシアを抱き締めていた。
「い、イッセーさん?」
「……俺は」
光を失った彼女に、新たな光を与えてやりたい。ペンライトのような小さな光でも、アーシアにとっての光に。
アーシアには酷かもしれないけど、言わなくちゃ!
「俺は……神が死んでもなんとも思わ
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